電脳タブロイド
チェリーブロッサムの復讐

06
登場人物:テッド/エンゼル

場所:バーチャルーム:M4444真紅の城専用・桜パーティ会場



テッド 「ツンツン頭のエンゼルさん。桃色パーティを楽しんでる?」

エンゼル「……」
テッド 「あら。無視? それで用心しているつもり? テッドをお忘れかしら?」
エンゼル「アンタ、なんで、ピンクの頭になってるんだ」
テッド 「郷に入ればってやつよ。今じゃピンクじゃないのを見つける方が、珍しいわね」

エンゼル「はー。。。。そうだよな。桜のピンクか、髪のピンクか、服のピンクか、わからねぇ状況だ。
     ピンクの景色にピンクの住人、もしかしてすでにピンクウイルスに全員発病してんじゃねぇのか、コレ?
     もう、どうでもいいな。そのうち、全員がピンクになるのも時間の問題だぜ」
テッド 「あら。もう投げ捨てるの? 相変わらずね」
エンゼル「あんた、やけに親しげだが、俺の何を知ってるんだ?」

テッド 「そう? まぁそうね。キラさまのネカマクラブの大ファンではあるから、
     つまり、あなたのことはそこで十分、知り得てるわね。ネットナンパが趣味のエンゼルさん」
エンゼル「へぇ? じゃ、話が早いな。あんたのことを口説こうかな」
テッド 「あなたは、誰でもいいのかしら?」
エンゼル「誰でも良いわけじゃねぇよ?
     あんたがもしリアルでも女だったら、それなりにその容姿はありかなって思うだけだ」

テッド 「あたしの代理映像は、イカレテルって噂でショ」
エンゼル「そうか? そうでもねぇよ? そのリボンは、可愛いよな」
テッド 「マジで? やだ。本当に口説いてきたわよ、このひと」
エンゼル「……チェリーちゃん」
テッド 「げっ。やだ……キモいんですけど」

エンゼル「や、違うんだ。そのリボンに、見覚えがあるんだ。以前、あんたチェリーって名乗ってなかったか?」
テッド 「なんの話かしら。そんなダサいHN、昔も今も未来もあたしのセンスじゃ名乗らないわね」
エンゼル「そうか。……そうだよな。今更、だよな。急に思い出したんだ。
     そんなのどこにでもあるリボンだよな。すまねぇな、変なことを云っちまった」
テッド 「いいえ。そうでもないわよ。このリボンは、ちょっと特殊なのよ。
     過去に見たっていうなら、確かに同じものかもね。コレ、どこにでもあるものじゃないの。
     これは貰ったアイテムで、一点もののリボンよ。盗めないから興味を持ったの。
     リボンというより、このリボンの柄だわね。リボン自体はどこにでもある形だわ。
     この柄は複製も加工もできない、大層な造りになってるの。余程の腕でも、持ち帰りできないわ」

エンゼル「じゃ、もしかして、その人物はチェリーじゃないか?!
     名前は変えてたのかもしれん。もっとも俺が会ったチェリーは生身で、リボンも現実のものだったけどな」
テッド 「そのコ、ハッカーだった?」
エンゼル「ハッカー、だったかもな。随分前だが、チーム主催の、オフリアル・パーティで出会ったんだ。
     その頃は、意外とオフ会も盛んだった。お互いに警戒してたからな。
     街から離れた、古い廃墟に不法侵入しての、かなりの数でのオフライン・パーティだ」

テッド 「もしかして、それってまたキラさまじゃないの?」
エンゼル「違う。キラなんかじゃねぇよ。ネット上じゃないからな。チェリーは女の子だった。
     実際にリアルで会ったんだ。間違えねぇよ。
     それにまだキラはネットに君臨してなかった時代だ。チームが流行って来てた頃でよ。
     だから違うはずだ……。だけどそのリボン、まさかキラに貰ったのか?」
テッド 「違うわ。あたしが貰った人物は、キラさまじゃない。たぶんね。でも名前はしらない。
     誰とも知らない。これはあるゲームの戦利品なのよ」
エンゼル「そうか……」

テッド 「奇妙な偶然だわね。リアルのリボンを見たっていうなら、このリボンのオリジナルかも。
     元の持ち主は、それをモデルに作ったのかしら。そのチェリーてコの話を、きかせてくれない?
     なんだか、興味をそそる」
エンゼル「あんたに?」
テッド 「そう。おイヤかしら?」

エンゼル「どうかな。そうだな……。俺とデートしてくれるなら、話してもいいぜ?」
テッド 「デートですって? 愕き。さっきのは本気ってこと? 大した度胸ね。
     このMM会幹部のテッドを、デートに誘うなんて。初めてだわ」
エンゼル「あんたとデートをするのが初めてなら、尚、ラッキーだ」
テッド 「するとは言ってないわよ」
エンゼル「どうする? 別にしなくてもいいぜ。チェリーの話をしないだけだからな」
テッド 「このあたしを脅す気なの? 呆れたわね。初めてだわ」
エンゼル「それも初めてかよ? あんた、初めてのことが多いな。
     男女が付き合うには、意外性は必要だぜ」

テッド 「……意外に積極的なのね、エンゼルさん。ナンパキングの異名も伊達じゃなさそうね。
     わかった。デートするわよ。いつにする?
     その話は、デートの時に話してくれるのかしら? 色男のエンゼルさん」

エンゼル「いいや。今、話すさ。聴きたいんだろ?」
テッド 「今? デートの確約もないのに? まんまと聴いて、すっぽかすかもしれないわよ」
エンゼル「その時はそのときだ。したくなくなったら、別にしなくていいさ。無理強いはしねぇよ」
テッド 「……甘ちゃんね。お人好し。だからいつも騙されるのよ」
エンゼル「俺が信用した女に騙されるなら、しょうがねぇよな」

テッド 「キラ様にもそう言ってあげたら?」
エンゼル「はぁ?! 冗談じゃねぇや! あいつは違うぞ!! ヤツは初めから野郎だからな!
     俺を騙すつもりで接触してきやがるんだからな! 女じゃないなら、初期値で信用しねぇだろが!
     絶対あいつだけは、キラのヤロウは、許さねぇぇぇぇぇ!!(ー_ーメ)!!」
テッド 「ちょっと興奮しないでよ。現時点でデートの約束はするわよ。
     そのリアル・チェリーとは、何を話したの? どんなコ?」

エンゼル「チェリーと出会ったのは、俺がまだマフィアボーイズを結成する前だった。
     所属してたチームを抜けて、ちょっと色々考えてて、フリーの時期だ。
     可愛いコで、会場で野郎どもに絡まれて脅えてたから、俺が助けた。下心ありだけどな。
     あんたの今の、そのリボンがすごく似合ってた、小柄で目がでかくて、サラサラの髪で、
     ピンクの桜のワンピースを着た、ピンク色と甘いものが好きな可愛い女の子だった……」




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