Smoke Gets In Your Eyes
煙が目に沁みる
03
登場人物:/美紀/咲子
場所:1ステージ後のインターバル・シックスティーズの客席
咲子「はぁ〜、やっぱりナルセはカッコイイですねぇぇ♪」
美紀「そうね〜、やっぱナルセはナルセだわね。久しぶりに見た気がするわ。
リトルダーリン、良いわねぇ……ナルセの声、うっとりする」
咲子「あの曲、最近では久しぶりに歌った感じですよ。
ナルセのオーラをもっと観に来て下さいよ、美紀さんも。
豪ちゃんがいないからって、手を貫きすぎですよ?」
美紀「ゴメン。だって、ステージでナルセの相手が見つからないと萌えないじゃない」
咲子「リンでいいじゃないですか」
美紀「そんなお古は、嫌なの。新メンバーもいることだし」
咲子「ええ、お古ってヒドイデスヨー」
美紀「でも咲子は、浮気してるんでショ?」
咲子「ニウ?! ややや、浮気っていうか、なんていうか、そのぅ……」
美紀「マックだっけ? ベースのマック。カレ、面白いわね。見てくれとチグハグな空気感が……。
咲子ってああいう眼つきの鋭いやんちゃなタイプ、萌えだっけ?」
咲子「うーん、嫌いじゃないですよ。やんちゃは王道だしぃ。しかも天然ボケだし。
でもでもマック、よく観ると顏、良いデスよ? かなり男前さんなんですよ?」
美紀「そうね。精悍な整った顔つきだわね。咲子、美形好きだもんね。
でもいかんせん、少しタッパが足りないかなぁ……」
咲子「それは言っちゃダメですよ。それって気にしてるんですよ、彼氏。
結構、ステージでは自虐ネタにしてるけど、あれは気にしてますヨ。
そういうとこが、面白いんですけど。この間なんてね……
あ。そうだ、年末にアキラがゲストでシックスティーズに来るらしいですよ!」
美紀「豪のあとだったギターの爽やか王子? 彼って今、コリンズのレギュラーじゃなかった?」
咲子「そうですけど、このシーズンだし貸切なんじゃないですか?
前のとき、マックが年末は背がちっこい、これくらいの小さいギターのひとが来ますって
自分より低く言ってて、めっちゃ強調しててすごく面白かったんですよ。
二人ともそんな低いわけじゃないのに、他のメンツが背、標準より高めですもんね」
美紀「そうね。ナルセの相手には、やっぱリンくらい背がないと……。やっぱ豪しかいないわね」
咲子「いやいや、違うンデスよ、美紀さん。
マックにはね、マックには他の人がいるじゃないですか!
ほら、前に来てたなんとかって高級ナイトクラブの超渋メンのオーナーさんが」
美紀「……ああ。レイジさんね。彼は高級すぎるんじゃない? 格差カプ?
そういや、ちょっと萌えネタになった時、あったわね。アレ、続いてるの?」
咲子「ああっ、そうだ! この話、してませんよね、私?」
美紀「何? なんか萌え展開があったの? そういうのはちゃんと報告してよね」
咲子「イエッサー。あのですね、ちょっと前なんですけどね、結構、あのオーナーさん、
シックスティーズに連続して来てたみたいなんデスヨ。わりと頻繁に見かけたんです。
楽屋付近の席でね、ビップ席でもなく、通路の隅の席で……」
美紀「うんうん」
咲子「あそこらへんの席って、結構メンバー通るじゃないですか?」
美紀「うんうんうん」
咲子「だからね、オーナーさんの横を通ると、もちろん皆メンバーは挨拶するわけですよ?
ナルセまでも、珍しいね、とかなんとか言っちゃってね。まぁこれもある種、萌えでしたけど。
ナルセとオーナーさん凄く仲良さげでしたぁ」
美紀「そんなとこまでばっちり見てたんだ?」
咲子「観てましたよ。そんなのガンミでしょ?! 席、近かったんですよ!」
美紀「まぁ、遠くても見るわね。落ち着いて、咲子ちゃん、どうどう」
咲子「鼻息荒かったですか? スミマセン。なんか美紀さんと二人で来るの久々だから。
萌えtalk、嬉しくって。……でね、マックがね、正面からやってきたとき、
オーナーさんが、目配せしたんです!!
マックも同時にチラって見て少し頭下げて、お互い見つめあって、
何にも言わないで、度々、擦れ違うんデスよ!!」
美紀「あらー、スゴイ。それはかなりレベル高いわねぇ……」
咲子「美紀さん擦れ違い萌え、好物でしょう?」
美紀「もちろんよ。ナルセと豪の基本じゃないの。
特に何も言わないで、が高ポイント。グッジョブよ、咲子」
咲子「もうホント、見るか見ないかの目の動きでネ、ヤラシイ〜空気でした。
ドキドキしました。色んな妄想、できました。同人一冊作れます」
美紀「うーん。かなり高度になってきたわね。咲子の妄想具合も」
咲子「フフ。先生が良いのもので♪」
美紀「でも咲子もメンバー以外で、萌えを見つけちゃったんだ」
咲子「ああ、ですよね〜。それって、萌えが起こる率が極端に低いから、致命傷ですよね」
美紀「お互い不毛な萌え難民になってしまったわねぇ」
咲子「……ハイ。マックは萌えるけど、私は一応、ナルセとリンの萌えも期待してるんですけど」
美紀「この際、ナルセとマックとレイジさんの三角関係ではどうなのよ?
まぁ、ナルセの本命は豪ちゃんなんだけど。それは決まってるけど」
咲子「自分の萌えを優先しないで下さいよ。ナルセの本命はやっぱリンですよ。
リンは浮気なんてしません」
美紀「自分だって優先してるじゃないの」
咲子「……ねぇ、美紀さん、ちょっとあっちのテーブル、様子がおかしくないですか?
なんか男の常連さんが寄り集まりすぎてる……少し声も荒いし」
美紀「ああ、あのオニーサンが原因ね。相当酔っぱらってるわね。あんなに泥酔のヤツ、
ライブハウスでは久々に見るわね」
咲子「忘年会かなんかですね。人数多いし、あんまりみたことないメンツです。
一見さんかな。常連さんに、たしなめられてるみたいな……」
美紀「このシーズン、どうしてもいるのよね。勘違い一見野郎がさ。歌姫をホステスかなんかと
間違えてる場違いなオトコ。用心棒の店長はどしたの? 今日は見てないけど」
咲子「大丈夫かな。どうもメリナが絡まれてたみたいですよ。随分困ってるけど……。
あ、リンが来た。良かったぁ。リンなら安心ですね。うまくさばいてくれそうだし」
美紀「……だといいけどね。
咲子は知らない時期だけど、リンは昔、大暴れのやんちゃクンだったのよ」
咲子「えええ!! マジっすか!? ……え、ちょっと。やだ、嘘、 キャー、リン!!」