TONIGHT


9月19日 翌日 AM01:45


登場人物:サワ/マック
場所:シックスティーズ付近




サ ワ「マック、お疲れさん!」

マック「えっ、サ、サワ?! どどどうしたんだ、こんなとこで……アルーシャは?」
サ ワ「休みなんだ。会うのは久しぶりだよな。最終からの頃合いを見計らってきたんだ。
    待ち伏せ成功だな。ちょっと今から、良かったら飲みに行かないか?」
マック「え。いや、良くない。その、えっと、ちょっと大事な用事があって、ですね」

サ ワ「マック。オレを避けてるのは解ってるよ。
    メールにも全然返信してくれないもんな」
マック「いや、そういうわけじゃないんだけど……忙しくて、だよ。悪いホントに。
    あのな、俺、今日は急いでるんだ、本当にもう、時間があまりないんだよ。
    本当に悪いけど、違う日にしてくれないかな? な? 今度ちゃんと必ず会うから」
サ ワ「本当に? 違うんだろ? 気が変わったなら言ってくれよ。
    おれは、まだ待っていていいのかどうか、今すぐでも知りたいんだ。そうだろ?
    いつまでも待たされて何日も想いを持て余すのは、辛いんだ。
    もう今日以外は、俺だって時間がとれないんだよ。わかるよな? 頼むよ、マック」

マック「―――あ。
    ……そう、だよな。そうか。俺、確かにこのままじゃサワに対していい加減だよな。
    わかった。話、15分……では済まないよな……。
    ……内容によっては済むかな。困ったな…………でも……まいったな、これ。はぁ。
    よし、分かった。俺のせいなんだし、しょうがねぇもんな。少しだけ、行こう」
サ ワ「良かった! 面白い店を見つけたんだ♪」






☆☆☆
9月19日 翌日 AM02:10

場所:繁華街から少し離れた風変りな居酒屋



マック「……サワ……。
    これ、店じゃないよな。これって、飲む店なのか?」

サ ワ「飲食店だよ? ただし、酒は飲めるけど普通の居酒屋じゃない。
    ちょっと趣向を凝らした連れ込み宿風のイベント居酒屋、かな? 面白いだろ?」
マック「イヤイヤイヤイヤ。面白いけど、俺と来るのはどうだろう?
    あっちの部屋に布団が敷いてあるのは、そういう演出だと思うけど、いかがなものか?
    これ、お代官さま、いけません、やめて下さい、クルクル、あれぇって
    やつの部屋じゃねぇの? 最近はぶっ飛びの店があるんだな……」
サ ワ「そうだよ。(笑) 酔っぱらったら本当に泊まって帰れるんだ。便利だろ」
マック「……ほとんどそれじゃラブホだろ、ここ。つか、ラブホ?」

サ ワ「ご名答。あまりにマックがオレを待たせるから、強行手段に出てみたんだ」
マック「マジですか……あのな、サワ、マジで悪いんだけどな。俺……」
サ ワ「まぁ、飲めよ。乾杯しよう。
    マックがオレを好きじゃなくてもいいんだからさ、とりあえず」
マック「どういう意味だよ?」
サ ワ「うん。信じないかもしれないけど、オレ、妖艶な悪魔と契約したんだ」

マック「……マジか。大丈夫か? サワ。それどんなドラックだよ? ヤバいだろ。
    お前、オールディーズのボーカルがドラッグやるなよ。ロックバンドじゃねぇんだから!
    今からでも遅くない、やめとけ、持ってるなら全部出せ! 捨てといてやるから」
サ ワ「違う違う、頭は正気だよ、ドラッグなんかやってないって。あはは……」

マック「悪魔と契約って、じゃ、どういう冗談だよ。オカルト反対」
サ ワ「うーん、マックは信じるかなぁ。あのさ……。
    あまりに俺が恋わずらいで悩んでると、ある日、恋を叶える悪魔がやってきたんだ。
    壮絶に美しい妖艶な悪魔だよ。しかもかなり淫乱でスゴイんだ……。
    その悪魔がベッドで、こう囁いたんだよ。
    この十五夜に一番の願いが叶うから、今夜のこの日を外すなって、ね。
    月の魔力が叶うこの日なら、俺の願いは必ず成就するからって……な」
マック「……サワ。離れろ。冗談はやめろ。触るなって! 本気で怒るぜ、俺」

サ ワ「ダメなのか? 月の魔力は効果なしか? オレじゃダメ? がっかりだな」
マック「どんな占い師に聴いたのかしらねぇけど。
    そんなもんで恋が叶うなら、俺なんかぜったい叶うってんだよ! ふざけんな!!
    悪魔かトカゲか知らねぇけど、サワがそいつと寝たのなら、尚更お断りだ。
    寝る相手がいるなら、俺は必要ないだろ。どういうつもりだ。帰るぜ」
サ ワ「待ってくれ、怒るなよ、悪魔なんてただの冗談だよ。
    オレはマックが好きなんだ。マジなんだよ。マックが悪いんだ。
    いったん気のある振りしといて、何だよ。マックこそどんなつもりなんだよ?
    マックの願いは、何なんだよ。振られた奴とまた寄りを戻したいってことかよ?」
マック「それは……もう、戻ったんだよ」

サ ワ「え―――。寄りを、戻した、のか?」

マック「そんなとこ、かな。だから、悪い。サワにはもう応えられなくなったんだ。
    ずっと云おうと思ってたんだけど、なんだか云いだせなかった」
サ ワ「酷いな……ならそう言ってくれたら良かったんだ……ずっと待ってたのに」

マック「本当にスマン。サワが嫌いなわけじゃなくて、俺には心底惚れてるひとがいるだけなんだ」
サ ワ「どんなひとなんだよ。マックにそんなに愛されてる奴ってのは。教えてくれよ」
マック「言えない。これ以上は迷惑かけたくないしな。
    ただ……そのひとは優しいから、またやり直すチャンスを俺にくれたんだ。
    今度は失敗したくない」
サ ワ「あんなキスをそいつにしてたってのに、相手はお前のことを値踏みしてるのか?
    そんなの寄りを戻したって言えるか? 結局マックのことは本気じゃないんだろ。
    そんなヤツ、やめとけよ。マックのことを全然判ってない」

マック「いや、あんなキスって……どんなだった……?
    イヤイヤ、そうじゃなくて。酔ってたとはいえ、サワと相手を間違えたのは悪いと思ってるよ。
    でも正直な気持ちだから、これ以上はどうしようもない」
サ ワ「じゃあ、マックのことは諦めるよ……。しょうがないよな。
    だけど一回だけ、オレの願いを叶えてくれないかな。一回だけでいいんだ。
    一回で諦める。ストーカーみたいに付きまとわれたくないよな?
    オレは、ダメか? そんなにその気になれない? 最初で最後のお情けでいいんだよ……。
    マックのことが、本当に好きなんだよ、オレ……」

マック「サワ――― 本当に…… 」



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