You're Only Lonely
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10月12日 AM02:20
シックスティーズ近くの個室居酒屋
登場人物:リン/マック/サワ
リ ン「ハイハイ、ちょっとお邪魔しますよ〜。
お前はアホなコなのか、マック!! ヽ(ヽ `д´)┌┛┌┛┌┛★
まるっきり、カモネギじゃねぇかよ。サワに騙されてんじゃねぇよ!」
マック「わっ!? なんだよ、リン?! なんでリンがいるんだ??」
サ ワ「ちッ。なんだ、リン。またなのか。邪魔なんだよ、お前は呼んでないけど?
ひとの個室に勝手に入ってくるなよ。隣で盗み聴きでもしてたのか。このデバガメが」
リ ン「呼ばれてなくても、リンくんは酒のあるとこ、来たければきますぅー。
マックが飲みに誘われて、俺が誘われないなんて、ありえないだろ。
だいたいもともと俺のダチだろ、サワは。お前、リン様を嫌いだとでも言うのか?!」
サ ワ「嫌いじゃないけど、趣味じゃないんで、リンはお断りだな」
リ ン「なんかソレ、どっかで聴いたことのあるセリフだな……。
こいつ、本当にムカつく野郎だ。お前はそういうヤツだよ、サワ。
ナルセといいコイツといい、俺のまわりのボーカルは全部ムカつくヤツばかりだよな」
サ ワ「いい加減にしろよ。また前みたいに邪魔しに来たってわけなのか?
お前も相当、ムカつくヤツだなんだけどな、リン」
リ ン「お互い様ってわけかよ。いいだろう。いいか、サワ。
マックには手を出すなよ。マックはお前とは違うんだよ。絶対、駄目だからな」
サ ワ「何でだよ。そもそも、先に手を出されたのは、俺だろ?」
リ ン「よくもそんなことが云えるな。違うぞ、騙されるなよ、マック。
先に仕掛けたのは、サワなんだ。俺は見てたんだからな!」
サ ワ「仕掛けたとか、仕掛けられたとか、関係ないだろ。
マックも俺にキスしたのは、事実なんだから」
リ ン「お前がマックに先にしたんじゃないかよ。それにキスくらい、俺だってしてやるけど?」
サ ワ「パス。リンのはいらない。なんか、健康そうで爽やか菌が、ウツる感じ」
リ ン「爽やかのどこが菌なんだよ! 畜生、何処までも腹の立つ野郎だな……てめぇ。
俺にケンカ売ってんのか、サワ。いいだろう、ロックで鍛えたこの俺を舐めんなよ。
久しぶりに、暴れてブン殴りたい気分になってきたぜ、タギルッ!!」
マック「ちょっと、ちょっと待てよ! 勝手にヒートアップすんなって。
リンもサワも、おまえら、おれを無視して話を進めるなよ」
サ ワ「どうでもいいけど、顏は殴らないでくれよなー。商売道具なんだからさ」
リ ン「うーわ。めっちゃ腹立つぅ(ー_ーメ)!! お前の商売道具は、声だろッ」
サ ワ「何を今さら。ボーカルは、顏も命に決まってるだろ。この綺麗な顏が命だよ。
お前、ナルセやアキラの顏を殴れるのかよ? リン。無理だろ?」
リ ン「殴るけど? ムカつけば、殴るよ俺。男は顏、関係ねぇよ。
けど、ナルセもアキラも殴ったりしねぇよ。友達だし、ムカつくことはないからな。
いや……ナルセはたまに非常によくあってもな。ナルセは殴らないよ。親友だから」
サ ワ「本当に親友なのか? ナルセは、お前とデキテルって噂、あったよな」
リ ン「噂はあるな。その噂には、非常に迷惑してるがな。
でも実際にはそんなことは一切ねぇよ。信じないかもしれねぇけど」
サ ワ「勿論、そんなの信じるに決まってるだろ。
ナルセが色気のかけらも無いお前なんかと、何かあるわけないからな、フン」
リ ン「お前、この世から完全滅却してやろうか。(ー_ー)!!」
マック「いや、落ち着けよ、リン、殺人はマズイって。
つか、おれを無視すんなよ、さっきから。だいたいリンには、関係ないだろ」
リ ン「だったら! もう帰るぜ、マック。
そもそもこれは、お前のせいなんだからな。
なんで毎回毎回、お前をサワの毒牙から守ってやらなきゃなんないんだ、俺が。
いい加減にしてくれ。いっそまたアキラでも呼ぶか? 送って貰う?」
マック「おれのあと、つけてきたのか? リン」
リ ン「そうだよ。でも、これはナルセさまの御命令だよ。
妙な害虫がマックに喰らいついてるから、あとをつけてって駆除してこいって。
俺のことコキ使って何様なんだろうな、アイツは。ああ、ナルセさまだっけか」
サ ワ「害虫って、それ俺のことか? 酷いな、ナルセは」
マック「……ナルセが? 放っときゃいいのに。おれなんか、流されてりゃいいんだ」
リ ン「見兼ねたんだろ。お前は今、危なっかしいよ、なんだかな。
自暴自棄になる人間に、ナルセはやたらと弱いんだ。だから怒らないでやってね」
マック「おれは、自暴自棄になんか、なってない」
リ ン「そうか? そうは見えないけどな。流されてりゃいいなんていうのは、
自暴自棄の人間か、どんぶらこの桃か流し素麺くらいだろ。
あ、いま俺、お前がMCで云いそうなこと言ってやったぞ、マック♪」
マック「……おれ、そんなに酷いセンスですか?」
リ ン「とにかくさ。お前は、サワのケツをホテルで掘ってる場合じゃないよ。
うっ。サワのケツって自分で言っててちょっとキモ……」
サ ワ「失礼なヤツだな。俺の美尻は、モテモテなんだからな」
リ ン「ウエッ。頼む、ホントにヤメテ。生理的にダメなんだ。想像したら吐きそう。ゲゲッ」
サ ワ「だっから爽やかドラマーなんか、相手にしねぇっつーんだよ。
俺がキモイなら、ナルセでも想像してたらいいだろっ!!」
リ ン「げげッ! 余計、キモイわッ!! やめてヤメテ、本当に〜!(泣)」
マック「リンはナルセやおれに対してもこうなんだ。サワだけじゃねぇから。
悪いな、気分悪くしないでくれよな。代わりに謝るよ。ゴメンナサイ」
サ ワ「いいよ、別に。リンのことは分かってるから。
なんだか知らないけど、これってそっちの問題なんだな?
ちょっと深刻そうだ。だったら、俺、今は退くよ。
そっちの問題が片付いたら、また誘ってくれないかな、マック」
マック「ああ、そうだな。本当に……ゴメンな、サワ。
おれは今日はさ……本当のとこ、そういうつもりで誘った……んだと思う」
サ ワ「なんだ……。ホントかよ。そうなんだ。
だったら、おれが雰囲気作りに失敗してただけなんだな。
口説く時間が少なかったんだ。それじゃ、次回こそは頑張るよ」
マック「悪いな……。でも、今日がダメだったのは、サワのせいじゃねぇから」
サ ワ「分かってる。リンが邪魔したのが致命傷なだけだよな。(^_-)-☆
でもマックのせいでもないよ。また、今度な……待ってるから」
マック「もしも今度があったら、本気で誘うよ。サワ」
サ ワ「ほんとに? 嬉しいよ。じゃ、な。おやすみ、マック」
マック「ああ……またな。気をつけてな」
リ ン「……ンだよ。サワとはラブラブだったのかよ?
結局、リンくんがお邪魔だっただけなのか? 俺は邪魔した?」
マック「違うよ。サンキューな、リン。本当は助かった」
リ ン「嘘つけ。ここ、お前の奢りだからな。
本当は、サワとどさくさに寝る気だったんだろ」
マック「……」
リ ン「はー。正解なのかよ。お前はホント面食いだねぇ。溜まってんのか?」
マック「……まぁ。結構」
リ ン「しょうがねぇな。どうしたらいいかねぇ。そっち系の風俗なんか知らねぇしな、俺。
この際、女でもいいか? 女のコ、お前、大丈夫だろ?
女だったら紹介できるしな? それともこの際、アキラに面倒みて貰うか?
アキラもホラ、そっちのひとなんだろ? 知らないけど」
マック「アキラって。ツラがイイなら誰でもいいってわけじゃねぇけど、おれ」
リ ン「あ、そうですか。それは失敬しましたネ」
マック「何も聞かないのか、リン。それともナルセにもう聴いた?」
リ ン「お前がこのところ、平気な振りしてるけど実は落ち込んでるのは、知ってたよ。
俺は神業ドラマーだからな。後ろ姿でわかるんだって。
恋する人間の落ち込み理由なんか、ひとつだろ。聴かなくたって分かるよ。
でも仕事はちゃんとしてて偉いよ。何の問題もないからな。
さすがプロというべきかなぁ。ナルセもその点、どんな状況でもプロだよな」
マック「……なんなら相手はお前でもいいんだ、リン。いっかいホテル行ってみようぜ」
リ ン「そういう投げやりな冗談言うのヤメロ。友達に掘られるなんて、冗談じゃない。
今は斬新でクオリティの高い冗談を云われてもコロスぜ(ー_ーメ)」
マック「ナルセは何か言ってたか? その……。それ以外のことで……」
リ ン「何が? ナルセとなんかあったのか? え。ま、まさか……?!」
マック「いや。違うよ。無かったよ。ナルセは浮気してねぇから。
ナルセは、おれを慰めてくれようと思ってくれたけど、おれ、結局、できなかったんだ」
リ ン「できなかったって、できなかったってこと? そこまでは、行こうとしたってこと?」
マック「まぁ。そう。ナルセもちょっと、ヤバいから。つい、お互い、寸前までは。
ハハ……。でも、あんなに情けない思いしたの、久しぶりだ。初体験の時くらいじゃねぇかな。
こういうダメージって、あと引くよな。男としての自信無くすっていうかさ」
リ ン「それは非常に良かったよ。失敗してくれて安心した。
成功なんかされてたら、豪に会わせる顏がないからな、俺。
もうしばらくは、不能でもいいんじゃねぇの。だって忘れる時間がいるだろう?」
マック「いや、でも、もう立ち直ったよ」
リ ン「は?」
マック「リンの体を張った友情に、おれは感動して心を入れ替えます」
リ ン「躰は張ってないけど。ホテルもお断りだぜ? どうしたんだ、急に?」
マック「サワともし今夜、寝て悪くなかったら、マジで付き合おうかなって魔がさしてた」
リ ン「な、なにィ〜〜?! バッカ、お前!! 何、しれっと言ってんだよ!?
あいつの性悪さを、お前は今、臨場感たっぷり体験したばっかりだろ?!
サワはやりたいだけなんだよ! マックのことが本気で好きになったなんて、
まったくの嘘だよ! サワの悪質な、そういう口説き手管なんだよ!」
マック「分かってるよ。でもおれもやりたいだけだし、利害は一致してる」
リ ン「はぁぁぁあ?! ☆☆☆もー、お前なんか知らん。呆れてものが言えん。
お前ら、俺には理解できねぇわ。未知のひとだわ」
マック「一緒だろ。すぐパンツ下してた、ロックなリンと一緒だって」
リ ン「ああなるほど。って、おい。いやいや、過去に決別した俺に置き換えるなよ」
マック「……おれ、そんなに飢えてるとは思わなかったんだ」
リ ン「いや、飢えてるよ、一度はやめたナルセにまた食らいつこうとして失敗したのに、
まださらにサワに食らいつこうとしてるんだから、相当に十分過ぎるくらい飢えてるだろ。
しかも、冗談でも俺でも良いって言い出すくらいだぜ」
マック「サワがおれを好きだって、本気だって云ってくれた時にさ、―――好きだって、
たったそれだけ言われるだけのことに、そんなに飢えてるとは思ってなかった……」
リ ン「……マック。それって」
マック「でもそれを言ってくれる相手はさ、やっぱりレイジでないと、意味がない。
レイジでないと、おれには価値がないんだ。無意味だ。
おれはまだレイジを、好きで好きで好きで、狂いそうなほど、好きなんだ」
リ ン「マック……。だったら、もう一度、レイジと話し合いをすればどうなんだよ?
何が原因か知らねェけど、まだ間に合うよ。レイジと話せよ」
マック「無駄だよ。レイジは嘘でも、おれを好きだとは云ってくれなかった。
誰かを好きになったのは、これが初めてじゃない。けど、ここまで本気なのは初めてだ。
話し合いはもうできないんだ。
これは、おれから、切り出したことなんだからな。
レイジは、本当にそれでいいのかって念を押したけど、いいっておれが、決めたんだ」
リ ン「えっ、マックが自分から、レイジに別れ話を切り出したってのか?」
マック「そう。おれから、云ったんだ。本当は。ナルセには逆のことを云って、嘘をついた。
おれは、レイジを強奪して、この世の果てに逃げたいくらい、好きだったんだよ」
リ ン「えええ。そんなに? そんなにお前は思い詰めてのか?」
マック「けどそんなのは、レイジが迷惑するだけだし、おれにも似合わないだろ。
逃げる世界なんか、おれの常識には存在しない。おれは逃げない」
リ ン「確かに……お前がいなくなるとシックスティーズが困るよ」
マック「だろ。だから永久的にこの想いがレイジとは交わらないのなら、
身体を切り離して、ただ心だけを待つことにしたんだ」
リ ン「待つって……。レイジが心変わりするかどうか、分からないのに?」
マック「おれは、シックスティーズでいつものように演奏するしかないんだよ、リン。
レイジが認めてくれた唯一のおれの価値は、シックスティーズのベーシストだけなんだからな。
あいつの気が変わらなくても、永遠におれは、ただのベースとしてレイジの前に存在するだけなんだ。
忘れたくないんだ。触れられなくても、レイジの近くにはいたいんだ」
Photo/Do U like