Have You Ever Seen The Rain
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なんだろう、あの会話は。
もしかして釘をさされたのかな?
茅野は、レイジとやっぱりデキてるのか?
だからあんなことを言ったのか?
あまり嫉妬するタイプには見えないけど。
だいたい、おれに釘をさしたってしょうがないだろ。
レイジには、まったく相手にされてないんだし。
どうせならナルセにだろ。
もっともナルセ相手じゃ、いくら茅野でも勝てないだろうけど。
おれに関心があるなんて、田舎者を面白がってるだけだろ?
まぁ、いいや。
ちょっと暖まったし、もうこのまま帰ろう。
もともと、寄り道なんかするつもりもなかったんだ。
ただ、通り道だっただけだ。
いつもは通らないけど。
さきよりはいくらか気分も良くなったし。
寂しいなんて、どうかしてたんだろうな。
笑っちまう。
街は静かだ。
人もさすがにもう少ないし、水を打ったように静かだ。
ライブステージから帰る深夜はいつもそう。
そこへ音もなくしんしんと降る雪だ。
白い世界。
ふわふわと堕ちる雪を見ていたら、世界が止まってるように感じる。
車の雑音は一瞬だけ通り過ぎ、あとは、静寂。
青いイルミネーションが、余計に冷たさを感じさせる。
……虚しい。
だれだよ、青い光は自殺防止になるとか言ったやつ。
効果があったなんて、はっきりしたデータなんかないんだろ。
それに今日は、相当寒い。
雪も結構降ってきた。
クリスマス寒波とかニュースで言ってなかったか?
やっぱり気分が重い。
ちっとも気分は良くなっていない。
寂しい。
この気分は、あの歌のせいなのかもしれない。
Have You Ever Seen The Rain
雨をみたかい
嵐の前は静かだという。
あの歌声が、耳について離れない。
あの深い目が、脳裏から消えない。
こういう日は、だれかと寄り添って眠りたい。
セックスレスはいつからだっけ。
ステージが毎日あると、他に体力を使うのが面倒くさい。
ナルセとの関係を復活させようか。
いや、そりゃ駄目だ。
だっておれって、すぐマジになっちまうし。
ナルセには、好きな男がいるんだし。
そういえばこっちに来てから、おれって特定の恋人がいない。
仕事が忙しくて、すっかりそんなこと忘れていた。
ナルセにハマったのが、いけなかったかな。
だってナルセは上物だから、他には見えなくなるよな。
それにしても。
アンタは、どこに消えたんだ?
あんなに暗い目をしていったいどこに行ったんだ――――。
マンションの入り口に何か白いものが見える。
ゆき―――― 雪だるま?
こんな真夜中に、どこのガキが作ったんだ?
だから24時間ファミレスなんか嫌いなんだ。
いや、違う。
あれは雪だるまじゃないくて、人間だ。
