電脳タブロイド
一億六千万の愛
〜2015月夜とハロウィンナイト〜
※注意:この物語はウォッカとキラの過去思い出話になります
01
登場人物:バカラ/キ ラ/ウォッカ
バカラ 「よーし、分かった。一億六千万回だな? それだけ言えば、分かるんだな?
いちおくろくせんまん回、云い聴かせてやるからそこへ座れ! ウォッカ、カウントしろ」
キ ラ 「うそ。マジで? バカラ、冗談だよ?」
バカラ 「バカいうな、俺は冗談じゃねぇぞ。マジだ。全力でマジだ。
もう学校には金輪際、行きたくねぇからな。さっさと座れ!」
キ ラ 「やだ、ウォッカ、助けて!」
ウォッカ「無理だ、あきらめろ。オヤジは本気だ。キラ、おまえが悪い」
キ ラ 「えーーーっ」
バカラ 「……ったく、なんでそんなに、我が家の子はいたずらっ子なんだ?
ウォッカ以上におまえは、学校からの呼び出しが多いぞ、キラ?
勘弁してくれ。俺は学校が大嫌いなんだ。ホント誰に似たんだろうな、まさか俺か?」
キ ラ 「そんなの知らないよ。でも俺はバカラの子供じゃないから似てないよ」
バカラ 「なんだと? おまえ知らなかったのか?」
キ ラ 「何が?」
バカラ 「おまえはな、キラ……。よく聴け。これから語る衝撃の事実を!!」
キ ラ 「バカラがそういうの、嘘の話ばっかりじゃない」
バカラ「そうか? そんなことないぞ。これは本当の話だからな。よく聴け?
実はお前は、昔むかし、俺がある女とやった時に孕ませた時のガキなんだ。
だがそれを知らずに性格の不一致のせいで別れちまった……イイ女だったがな……」
ウオッカ「性格の不一致じゃなくて、絶対オヤジの破綻な性格のせいだろ」
バカラ 「うっせぇぞ、外野。だまってろ。
それでだな、暫くしてお前の母親が死んで、産んだ子供は施設に預けたって云うんで、
俺が引き取ったんだ。それがおまえだ、キラ。やっと会えたな、我が息子よ」
キ ラ 「……施設って、娼館のこと? 違うよ。でたらめな嘘を言うなよバカラ。
もうそんな作り話を信じる歳じゃないよ。俺は、娼館の捨て子だったんだ」
バカラ 「はぁ!?」
ウォッカ「!!」
キ ラ 「バカラは、いつか教えてくれるつもりだった?
でも、もう分かってる。俺、知ってるんだ。ちゃんと調べたから」
バカラ 「し、調べたって…… おまえ。何を云ってるんだ。そんな記憶があるのか?
ねぇだろ? バカなこと言うな、怒るぞ、キラ!」
ウォッカ「キラ、そうだよ、ネット妄想と現実が混乱してるんだ、お前は……」
キ ラ 「違う……。記憶も思い出してる。前からちょっとずつ、変なフラッシュバックがあって、
変だと思ってた。だから、ネットで調べたんだ。
見覚えのある幼児娼館があった。俺は、そこに居たんだ。覚えてる。
自分がそこでいったい何をやってたかも、今は理解はできてる。
俺はクソみたいな汚い、汚れた幼児娼館の子供だったんだよ」
バカラ 「いいか、キラ。自分を汚い娼館の捨て子だなんていうのは金輪際、やめろ。
今度云ったら、ブン殴るぞ、いいな」
キ ラ 「何で? だってそれが正しい事実だろ」
バカラ 「違う。それは正しくないし、おまえは汚れてもクソみたいな子供でもない」
キ ラ 「でも、俺は娼館で、客をとってたんだ」
バカラ 「お前の居たところは、状況の事実でしかない。でもそれがどうした?
中味はそうじゃないんだ。お前自身はまったく違う。だったら間違ってる。
間違ってることを口に出して偉そうに言うのは、バカな頭の証拠だ。
せっかく良い学校で勉強させてやってるのに、何を習ってるんだ?
おまえの頭の出来は、バカなのか? なんてこった! 授業料の無駄か!」
キ ラ 「違うよ! 俺は、天才だよ! 成績だって抜群にいいだろ?!
まだ小等部だけど、テスト結果は高等部の生徒並みの筈だよ!
俺、勉強は誰よりも頑張ってる。バカラとウオッカに恥をかかせないために、
俺は、誰よりも一番になるように、努力して頑張ってるんだ!!」
バカラ 「そうだ。おまえは劇的に頭が良い。指数が異常に高い、賢いガキだ。
先生も驚いてたぜ。学年を大幅にスキップしそうなほど、お前は頑張ってるよな。
これはバカじゃできない。おまえは、俺の自慢の息子だ、キラ。
お前の過去の状況実態なんか、俺には痛くも痒くもないことだが、
お前は努力して頑張った。それが俺は嬉しい。その歳で偉いことだ。
だから言うなと言ってるんだ。間違ってることを絶対、認めるな。
自分を卑下するような、そんなバカの言うことは、二度と言うな」
キ ラ 「でも……俺は、バカラの子供じゃないもん。それは状況の事実だろ。
人に聴かれたらどう言うんだよ。嘘はつくなって、バカラ言ったじゃん。
バカラの子じゃないことを説明するには、俺の過去は必要だろ」
バカラ 「正しいことを、云えばいいんだ。簡単だ。
家族だろ、俺たちは。俺とお前とウォッカで、俺たちは家族だ」
キ ラ 「そんなのシステムで登録されただけのことだよ。養子縁組だってことだけだ。
俺はあんたたちとは、血が繋がってない」
バカラ 「登録したからじゃねぇよ。一緒の家にいる一族は、家族っていうんだ。
だったら、嘘じゃないだろ? おれたちは一緒に住んでるんだから、家族なんだ。
いいか? 分かったか? バカじゃないなら、しっかり覚えておけ。
おまえがこの家に来た時に、俺はそう言った筈だ。忘れるな」
キ ラ 「バカラとウォッカと俺は、本当に家族って言っていいの?」
バカラ 「そうだよ。良いに決まってる。真実だ。所詮、おまえが誰の息子かは関係ねぇんだよ。
俺は息子だと思ってるけど、お前が息子は事実じゃないって賢いことを言い出すなら、
俺らは同じ家に住んでる家族だ。誰かに聴かれたらそう言えばいい。
それは状況の事実だ、ウソじゃねぇからな」
キ ラ 「……ウォッカも、そう、思う?」
ウォッカ「思うも何も、前から家族だろ。キラは俺の弟だしな」
キ ラ 「弟…… 兄弟ってこと?」
ウオッカ「そうだな。俺は、おまえの兄貴だ。前からそう思ってるぜ、俺は」
キ ラ 「ウオッカは……。学校でも俺の兄貴で、恥ずかしくない?」
ウォッカ「何で恥ずかしい? 学年トップの自慢の弟が? まさか。
おまえの方が恥ずかしいだろ? 問題児のバカな兄貴がいてさ」
キ ラ 「そんなことないよ……。ウォッカは人気者だ……」
バカラ 「人気者のウォッカは俺が産んだ。天才のキラは誰か女か男がMBで産んだ。
そして、おれたちは今、家族だ。事実に間違いはねぇだろ?」
キ ラ 「それって正しい?」
バカラ 「ああ。正しい。ぜんぜん正しいぞ。学校のセンコーが違うと云ったら、
ブン殴れ。それは許す。殴れないなら俺がやるから、どいつか言え」
ウォッカ「言うなよ、キラ。ホントにやるからな、この不良オヤジ。
ただでも教育委員会から、総スカンなんだからなー。頼むぜ、親父」
バカラ 「あのなぁ。誰のせいだよ、誰の。てめぇのせいだろ、ウォッカ!!
てめぇがちゃっちいハッキングで、毎回問題を起こすからだろうが」
ウォッカ「チャチじゃねーよ! 俺は汚い大人のやり口が気に入らねぇんだよ!」
バカラ 「カカカカ、汚い大人? 笑えるなぁ。まったく大笑いだ。
何様のつもりだ、人気者の悪ガキヒーロー気取りか?
俺に生意気な口、きいてんじゃねぇぞ、ウォッカ。中坊のガキが。
大人にゃ大人の事情があるんだよ! 正しいことじゃ回らねェことがあんだよ!
青臭い小便タレ小僧の正義感なんぞ、むず痒くてクシャミが出らぁ!
だいたいバレねぇようにやりやがれ! 鈍くさいんだよ、おまえは。
結局ラスがいつもケツ拭く形じゃねぇかよ。俺に面倒かけるのはいいが、
ラスに面倒かけるな。責任もとれねぇ歳で、偉そうに言うなよ、ヒヨッコが!」
ウォッカ「……ンだと〜?! 表に出やがれ、クソジジイ!!」
バカラ 「おう! やるのか?! モヤシっ子のガキなんかにまだ負けるか、俺が!」
キ ラ 「やめて、またケンカしないで、二人とも。いい加減にしてよ、もう。
……わかった。もう捨て子だとか俺、言わないよ。
でもさ、MBで産んだって表現はおかしいよ、バカラ。
マザーボックスはさ、そもそも卵子を基礎にシステムで……」
バカラ 「うるせーよ、細かいことはいいんだよ!! どういつもこいつも賢くなって。
ちょっと勉強し始めるとこれだからな。だから学校は嫌いなんだ。
生意気なんだよ、ガキ共め。でももうそのことはいいよな。じゃあ本題だ。
ホラ、さっさと座れ。正座しろ。時間がかかるからな。
これからおまえの悪戯について、一億七千万回の説教だ。
耳かっぽじいて、よく聴いておけ!」
キ ラ 「回数、増えてるよ、バカラ!!」
バカラ 「しつけーな。細けぇことはいいんだよ」
キ ラ 「ぜんぜん細かくないよ、千も増えてるだろ! 勘弁してくれよ、バカラ!
もうしないよ、もう学校から呼び出されるようなイタズラはしません。
許してバカラ、ごめんなさい、パパ」
バカラ 「今更パパ言うな。愛人みたいだろ。父のことは、お父さんと呼びなさい。
よし。一億七千万回、ごめんなさいと書いたら赦してやる。
お父さんも鬼じゃないからな。コピペは無しだぞ。ハイ、始め!!」
キ ラ 「……嘘だろ?」
ウォッカ「キラ、降参しろ。逆らうとどんどん回数が増えるぞ。
親父はいつでも本気だ……マジでイカレてる」