星に願いを
When You Wish Upon a Star

03
June

登場人物:マック/リン
場所:マックのマンション部屋




マック「いやいや、本日は良いステージだったなぁ♪」

リ ン「なんだよ、マック。にやけっぱなしだぞ。
    ちょっーとだけ、お前へのリクが多かったからって、機嫌良すぎだろ」
マック「だってあんないっぺんにリクエストいっぱい貰ったの、初めてだ、俺!!」
リ ン「はいはい。しかもメッセージも、『ベースのひと、カッコイイ〜男前〜素敵〜、』って
    さんざん書いてあったもんな。何のモテキだ。リンくんだって、美形でカッコイイのに。
    しかもナルセを無視って、どういうことだ。なんなんだ今日は、組織票か?
    あ、ひょっとしてお前んちの田舎の叔母さんたち、来てたのか?」
マック「田舎のおばさんじゃない。おねーさんたちだったよ。やっぱ、分かる人には、分かるんだねぇ♪」
リ ン「コラ、締まりがないぞ〜、ベーシスト! そんな浮かれてると、レイジに云うぞ!」
マック「別に浮気してないだろ。お客さんだし、関係ない。むしろ、言ってくれ。大いに言ってくれよ。
    シックスティーズで、俺がモテモテのベースなことを、レイジに云って欲しいよね」
リ ン「お前がモテモテなことをレイジに云って、何か変わるのか?」
マック「……変わりませんよね。ええ、何も変わりませんとも。冷たい眼差しくらいは貰えるかも」

リ ン「はー不毛だ。あーー、お前なんかに嫉妬する、おれも不毛だ!!」
マック「なんかって、なんだよ。ナルセもリンも、普通にカッコイイから、誰も触れてこないだけだろ。
    いいじゃんか、いつも、キャーキャー言われてるんだから。たまには俺に譲れよ」
リ ン「ナルセは気にしないけど、俺は気にするの! リンくんは、今、猛烈に女子が欲しいんだ!」
マック「ちょ。女子が欲しいって何。女、欲しいってこと? 取り巻きはいっぱいいるだろ、リンには」
リ ン「ファンのコは、ダメだ。おれのパンツを狙ってる、肉食フィッシャーなだけだから」
マック「なにそれ? 意味不明。別にやりたいだけなら、その中の誰でもいいんじゃねぇの?」

リ ン「んま!! ヤリタイだけなんて、マックさんたら、不潔ね。
    そんなんじゃ、ないんだよう。恋だよ、恋。恋よ、来いだよ〜! 清楚な可愛い女のコと恋がしたいの!」
マック「いい歳して、コイコイ言ってんじゃねーよ。ゴキブリホイホイか」
リ ン「ううう、お前のお笑いセンス、どうにかしてくれ。
    今日のステージでのリアクションは、面白かったけどな。
    マックさんモテモテの人気ですって云われて、アタマ掻くしぐさは可愛いって、スタッフのコ、ウケてたぜ。
    むしろニノの、あのタイミングの缶出しは、何を期待してたんだろうな? 何で蹴るんだ?」

マック「しらねぇよ。あのスプレー缶、やっぱアタマのお洒落セットボケで、合ってたよなぁ?
    ニノは缶蹴りだろって言ってたけど、意味がわからん。都会の幼少ギャグ?」
リ ン「俺もしらねぇけど。お前のボケが合ってるかどうかは謎だけど、ニノは最近、跳ばすよなぁ。
    テンション高すぎ。マックは普段からよくMCで絡まれてるけど、もしかして仲、悪いの?」
マック「ええ? ニノと俺が? 別に悪くないよ? 普通だけど。あいつ、面白いし。
    でもニノって、あんまりプライベートでは飲まないな。リンは一緒に飲みに行くのか?」
リ ン「俺? あんまりないかなぁ。ニノは、ライバルだしなぁ」
マック「ライバル? なんの」

リ ン「お互い、女子に人気の。でもちょっと女子は女子でも、ニノの女子は年季入りの女史ネ」
マック「ああ。熟女キラーね」
リ ン「そうそう、熟女キラー! あいつって、そう云われてんの?」
マック「らしいぜ。スタッフのコが言ってた。ニノさんは色男で助平だってさ。
    さりげなくファンの女客の肩抱いたり、腰に手を当てたりして、インターバルに喋ってるって」
リ ン「おばさまたち、まんざらじゃないんだろうなぁ。ボディタッチ、禁止じゃないの」
マック「でも若い男にボディタッチされて喜んでる感じは、あるよな」
リ ン「あ、それ、セクハラでないの?」

マック「喜んでたらいいんだろ? 俺が見てる分には、嬉しそうだけど? オバサマたち」
リ ン「いやいや、その判断は、外からはできないだろ。本人たちに聴かないとさ」
マック「そうなのか? どうでもいいけど。だいたい、そういうライバルなら俺も参戦する」
リ ン「お前はどっちかっていうと、男のファンが多いだろ。アニキ系」
マック「ええ、ソレ系のひと?! 俺、もしやアニキにモテてるのか?」
リ ン「そうじゃなくて、なんか野郎のファンがただ多いよ。なんか共感できるんじゃないの。
    男前なのに目立ってモテない三枚目なとこが。たま〜に今日みたいに、女子にモテてるみたいなとこも、
    好感度で、男くさい同盟の希望の星じゃねぇの? マック兄貴に続けー! みたいな」
マック「えー。何だよ、それ。意味わかんねぇけど。嬉しいような嬉しくないような……」

リ ン「お前はさ、なんか恋愛に関して硬派に見られてるから、地味な女性ファンが多いんだよ。
    奥ゆかしい女性向け。派手にラブラブアピールをしてくる、グルーピーみたいなコがいないんだ」
マック「俺、堅物に見えてるの? 結構、面白いひとなのに……」
リ ン「マックは面白いよ。でもマニア受けだよな。きっと個性的な女性に好かれるタイプなんだ。
    リンくんはさ、目に見えてナンパで軽い男だから、すぐフランクな女子が寄って来ちゃうんだ」
マック「それ、自分はキャーキャー言われてますって、アピールですか?」
リ ン「そうはいってない。いや、言ってる?」

マック「そういや、ずいぶんファンのコと飲みに行ったりしてないよな、リン? 前はよく行ってたじゃん。
    恋愛御法度宣言をしてから、長いだろ」
リ ン「そーなんだよーーー。レイジからパンツをすぐ脱ぐなって云われてから、自重してるんだ」
マック「やだリンさん、そんなに脱いでたんですか?」
リ ン「おうよ。パンツ履く間もないくらいさ。
    昔はさー、もっと良い時代の昔の話だよ? 店が終わってから、メンバーと常連のお客さんたちと、
    よく飲みに行ったりしてたんだ。今も、たまにはそういうことあるけど、昔ほどじゃないね。
    休みの日にボーリング大会とか、スキーツアーとか、焼肉食べに行ったりしてさ。
    踊り振りの練習会とかも確かあったよな」

マック「へぇ。知らなかった。そんなにファンサービスしてたのか? セブンレイジィロードが?」
リ ン「そうだよ。時代とともに、シックスティーズが老舗のキングになりだしてから、
    あまり特定の常連さんとつるのもどうなのかなってことで、完全にやめになったんだ。
    ナルセが客席に滅多にいかなくなったのは、その頃からだよ。この話、前にもしたかな?」
マック「さぁ、どうかな。俺も酔っ払いだから、聴いてても覚えてないかも」
リ ン「あっはっははは。酔っ払いっていいよなー。何回も同じ話をしても、新鮮なんだからな!」
マック「昔話に酒は不可欠だよなぁ。明日には、今日話した内容も忘れてるんだよな」
リ ン「酔いの魔術は、必要だ。レイジがよく言ってたよ……。そういや、どうよ?」

マック「どうよって、何が?」
リ ン「レイジとは、どうなんだよ、最近さ」
マック「ああ。特に。ふつうかな」
リ ン「なんだよ。普通なの? やけに盛下がるじゃん。正月開けは、貰ったネクタイで顔が緩んでたくせに」
マック「ああ、うん。まぁ。そうだけど……。もうずいぶん、経ちますから」
リ ン「なに? 倦怠期なの?」
マック「違うよ。でも倦怠期ってどういうの?」
リ ン「しらない。失恋大王のリンくんに聴かないでくれる?
    盛り上がりも下がりもない、平凡でちょっとダレてきた関係の感じじゃないの」
マック「そういうことは、ないけどな。でも良くも悪くもないかな。平行なグラフ線。
    レイジとは、なんせ、何の関係でもないわけだから、どう盛り上がって下がればいいのか、解らないよな」
リ ン「マック……。そんな最悪な位置に置かれても、お前はレイジが好きなんだなぁ」

マック「そんな同情的な目でみないでくれます? 俺、そんなに可哀想でもないですよ。
    むしろ、ちょっとじわじわと悦びを感じてるところかもしれない。それがちょっと怖くもあるけど」
リ ン「どういうこと?」
マック「わかんねぇけど、レイジは今、俺がいることを否定しないんだ。俺はそばにいてもいいって感じだ。
    良くないってのは、なのに俺の位置付けがないってことと、その……ちょっと……なんていうか」

リ ン「ちょっと? それ、下ネタに行く展開?」
マック「いや、違うよ。なんて云ったらいいのか、えーと……。いや、下ネタでもあるのかな、これ」
リ ン「じゃ、聴かねぇよ」
マック「いや、聴いてくれてもいいだろ。レイジとのことをお前が聴いたなら、最後まで聴けよな」
リ ン「じゃ、マックは云いたいのか? 本当はちょっと云いにくいんじゃねぇの?」

マック「云いにくいっていうか、表現し辛いほうだ。うまく言えない感じ。
    なんて言うか、レイジが優しい期間ってさ、経験上、なんとなく別れの前なんだよな。
    今回ももしかして、また辛い試練がやってくるのか、それとも別の何かの兆しなのか……。
    それが今回、俺にはよく分からないんだよな。変に戸惑うっていうか」
リ ン「お前をどんな位置にも置かないでいるのに、急にサヨウナラ言うと思うのか、レイジが?」
マック「いや。それは俺が云いださない限り、云わないとは思うけどな。たぶんだけど」
リ ン「じゃあ、黙ってればいいんじゃないの?」
マック「そうだよな。なんか、その、別の何かを感じても、黙ってればいいよな?」
リ ン「だから、何を他に感じてるんだよ?」
マック「……俺のこと、やっぱり好きなんじゃないかなって」

リ ン「マックくん」
マック「はい? なんですか?」
リ ン「好きじゃなくて、そんな深い関係になってるか? おまえら、大概ですよ?」
マック「でもだって、レイジは俺のことは好きじゃないっていうから。一回もそんなの云われたことないし。
    今はもう愛人でもないし、ただ俺は身体の相性がいいって云う人物なだけだから」

リ ン「マックさん」
マック「はい、なんでしょう?」
リ ン「そんなこと、本気で思ってるわけ?」
マック「思ってないよ」
リ ン「思ってない? なら、何の話をしてるんだよ?」

マック「いやぁ。なんか、だから表現しにくいって、言ってるじゃんか。
    レイジは、やっぱり俺に最愛を感じてるんじゃないかなって、そう思う瞬間があるんだ……」
リ ン「だーー! アッホらし!! ごちそう様でした! 結局、惚気かよ!」
マック「違うんだよ、リン。なんだか今まで見たことない反応をすることがあって、戸惑うんだよ。
    それを瞬間に感じたら、もう何も言えなくなるんだ。俺、どうしたらいいんだ……」
リ ン「俺が好きなのか、最愛なのか、って聴いてみたら」
マック「だからレイジは、言葉では俺は嫌いだって言うんだよ」
リ ン「じゃ、嫌いなんじゃないの」
マック「ふざけんな。俺の話、聞いてたのかよ?」

リ ン「きけねぇわ! そんな話、真面目に聴けるか! どうでもいいわ!!」
マック「何だよ、リンが、レイジとこの頃どうかって聴いたんだろ!?
    正直に答えただけだろ、俺は!!」
リ ン「あーー。そうだっけ。でも、俺の思ってた回答とは違うんだよ〜マックく〜ん。
    空気読めー、可愛そうな空気読めない天然ベースマンよー」
マック「どうせ、レイジに捨てられる俺の泣き言を、お前は聴きたかったんだろ?
    切実な願いが、叶うといいな。もうじき七夕だから、星にお願いしたら? ピアノマンに笹の葉があったぞ」
リ ン「そんなこといってねぇだろ。何で急に僻むのよー」
マック「だって、方向が解らないんだって。下手すりゃ、俺の思い違いで、実は別れるパターンの方だったら?
    そんなのいつ云われたって、おかしくない状況だからな。と言って、先手を打つのは違うと思うし、
    それを云ったらそれこそマズイって気もする。俺が云うのは駄目だ。結局、フリーズ状態だよな」
リ ン「なら固まってろ。どうにもならないなら、初期化しろ。 ……俺はさ、別に反対してるわけじゃないよ、マック」

マック「じゃ、妬いてるのか?」
リ ン「妬いてる? あれ……妬いてるのかな」
マック「ええ?! 冗談のつもりだったんですけど? やっぱりお前、レイジを……」
リ ン「だからそういう発想やめて。マックは恋で悩めていいなって、そういう妬みだよ。
    俺、今さ、ちょっと……。実は、酔って忘却したい気分の、深い悩み事があるんだよ」

マック「リンは、酔いの魔法が必要な出来事でもあるのか?」
リ ン「……あるんだよ。悩みがないリンくんにもそれはあるんだよ。知らなかっただろ」
マック「いや、知ってたよ? この5月から、リンはちょっと変だった。
    以前、メリナのオールウェイズラブユーのドラムミスをした時、なんか変だなって思ってた」
リ ン「うげッ!! 嘘だろ? あれは、たたた、ただのミスだ……」

マック「リンのミスは、珍しいからな。俺と違って、そんなに基本ミスはない。
    そのリンがミスするってことは、何か心理的な問題かなって思ってたんだ。違うのか?」
リ ン「お前、ときどき、鋭いよな……びっくりする」
マック「うーん、たまに何かが、降りて参るのですぅ」
リ ン「マジかよ」
マック「俺らの知らないうちにファンの子と何かあったのか? まさかとうとう腹ましたとか?」
リ ン「……それなら、その方がぜんぜん良かったような気がするなぁ……」
マック「それがマシだなんて、どんなことをやったんだよ。恐ろしいな。
    悩んでないで、話しちまえよ。それとも、そんな悩みは親友のナルセにだけ話したい?」
リ ン「別に、ナルセに拘ってないよ。どっちかっていうと、ナルセには知られたくないかも」

マック「深刻だな。ちょっと怖くなってきたな。やっぱ聴くのやめようかな……。
    もしくは、レイジを呼んでみようかな? レイジに話した方が、解決するんじゃね?」
リ ン「今さら! 俺をそこまで追い詰めといて逃げるのかよ、マック」
マック「いえ、別に追いつめてはいませんけどね。そんな深刻な問題なら、俺には不向きかなって。
    だいたい、猛烈に女子が欲しいって言ってたよな? そういう悩みだったら、解決できるかも」
リ ン「違うんだよ。現実逃避のアイテムとして、そっちに逃げたいだけだよー」

マック「……いったい、何をやらかしたんだよ。いかん。酒が、一気に醒めてきたぞ」
リ ン「決めた。決心した。この話は、マックだけに言う。誰にも言うな。ナルセにも、言わないでくれ」
マック「は、はい。しょ、承知つかまつりわかりまつりました。あれ? あってる?
    なんでしたら、襟を正して正座してお聴きしましょうか?」
リ ン「……男と、してみたんだ」

マック「……はい?」
リ ン「だから。男と、寝てみたらどうなのかと……」
マック「えええ?」
リ ン「何回、聞いたって、同じだぞ。俺は、男とセックスを試しました、以上です」
マック「ちょいちょいちょいちょい。待て待て待て。リンリンリン!?」
リ ン「ひとのことを、自転車のベルみたいに呼ぶなよな」

マック「だれだ。相手は誰だよ!!
    てめぇ、表に出ろ。相手はレイジじゃないだろうな!」
リ ン「レイジ。……だったら、まだ解る。それなら俺は、納得できるよ。
    相手がレイジだったら、自分がどうしてそうしたのか、まだ解るんだよな……」
マック「いい度胸だ。やっぱり表に出ろ」

リ ン「なんで自宅で二人きりなのにいちいち表に出るんだよ。その方が目立つし人迷惑だろ。
    人の話をちゃんと聴けよ。親友の俺の話を、真面目に聴く気あるのか?」
マック「都合のいいときだけ親友を語るなよ。俺が親友願い出したら、拒否ったくせに。
    お前な、やっぱりレイジが好きだったんだな!! 裏切り者め!」
リ ン「何のことだよ。レイジに惹かれてるときはあったよ。カッコイイ男だからな、レイジは。
    でもそこまでは思ってない。そういう気はないし。レイジは違うよ。決まってるだろ」
マック「だったら、なんで男で寝ることになるんだよ?」

リ ン「……いや、ちょっと嘘ついた。そう、なったらどうしようって可能性を、言ってみただけなんだ」
マック「なにそれ、イミわかりません。寝たってのが嘘? 何が嘘? 嘘が嘘?」
リ ン「実は……。男と、キス、した」
マック「相手はレイジかー!!」
リ ン「ソレもういいつーの。離れろ、嫉妬の念から離れてくれ。もしくは面白がってるのか? ボケてる?」
マック「まぁね。じゃ、誰とだよ? 俺の知ってるヤツ? ニノ? じゃねぇよな?
    ナルセ、なわけないし、ミト、は違うだろうなぁ……。アキラ? 誰? いったい、だれなの?」
リ ン「一番、可能性が、ないヤツだよ……。なんであんなこと、したのかな。
    ハーー、どうしよう。どうしたらいいんだ。俺、そんな性癖あったのか? いや、無いんだよねー」

マック「……サワ? じゃ、ないよね?」

リ ン「わぁーーーーーッ!」

マック「えぇーーーーーッ!!」

リ ン「ああああ、あれはただのスキンシップだと思いたい……。夢だったと思いたい……」
マック「お前、マジか!? 自分が一番、サワの手口に引っかかるなって、煩く言ってたじゃんかよ?!」
リ ン「当たり前だろ、俺がサワの見慣れた淫乱色仕掛けなんかに引っかかるわけねぇだろ!!
    俺、ゲイじゃないんだからな!」
マック「じゃ、なんでサワなの……」

リ ン「知るかよ〜〜。俺が、誰より聞きてぇよ……クソー。なんなんだよもう……」





参考:咲子の妄想ライブ日記  2016-05-23付 2016-07-06付

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