見上げてごらん夜の星を
☆2☆彡
マック「なぁ、ちょっと。レイジに九州方面の知り合いがいるなんて知らなかった。
シンちゃんとは長いつきあい? 茅野とも仲良し?」
レイジ「何を勘ぐってるんだよ。おまえの知らないことなんか山ほどあるだろ。
おれの知り合いは全国各地、海外の世界中だよ」
マック「そりゃそうだけど……シンちゃんは元は東京の人間だって言うし、
あんたと親しかったのかなと思ってさ」
レイジ「親しかったら何なんだ」
マック「別に……どういう関係?」
レイジ「まさか妬いてるんじゃないだろうな」
マック「ばッ……、そういうこと言うなよ。聴こえるだろ。怪しまれる。
デートとかさらっというし、ビビった。冗談で通ったみたいだけど。
それとも何? シンちゃんこっちのひとなのか?
レイジと何かあったひと? 実は馴れ馴れしい関係のひと?」
レイジ「シンちゃんシンちゃん馴れ馴れしいのは、おまえの方だろ。
初対面でもタメ口なのは誰にでもなんだな、おまえ。呆れた奴だ。
礼儀を知らぬはごめんだといつも言ってるだろ。おれの顏も立てろよ」
マック「だって敬語を使う方が何か変じゃん。同郷の人間なのにさ」
レイジ「シンちゃんは地元じゃないってさっき言ったよな?」
マック「でも九州のひとじゃん。今、九州に住んでるなら一緒だよ」
レイジ「同じ九州ならタメ口が常識みたいなおまえの方が変だろ」
伸 二「お二人はお友達なんですか? やけに息があうみたいですね(笑)」
レイジ・マック 『違う!!』
マック「えっ。ちょっ、待てよ、あんたが違う言うのはどういう意味だよ?! 傷つくだろ!」
レイジ「はぁ? おまえだって違うと言っただろ?!」
マック「俺は、友達だなんて思ってねぇからに決まってるだろうが!」
レイジ「おれだってそうだ」
マック「いや、あんたのは俺のと同じ理由じゃねぇよな? 絶対違うよね?」
レイジ「たぶんな」
マック「……じゃ、もういい。これ以上がっかりしたくない。知人でいいです。
もうシンちゃんの作品見て、チョー感動してからとっとと帰ろうぜ。
どら、みせてん」
伸 二「マックさんて、面白かひとですね(笑)」
マック「よく言われますよ」
レイジ「変人だって意味だよ」
マック「通訳しなくても分かってます」
伸 二「いや、そんな変人だなんて思ってませんよ。本当に。愉しいです。
レイジさんには色んなお知り合いがいて、バラエティですよね」
レイジ「こんなの居たって、何の役にも立たないけどな」
マック「その役立たずを連れてきたのは、どこのどいつですか」
レイジ「まったく興味がないとは思わなかったからな」
マック「まったくないこともないけどな。ただ、広すぎるんだ。
たとえば、ちょっといい感じのぐい飲みを探してたりしたけど、
俺のいいなと思うものがなかっただけ」
レイジ「そうなのか?」
マック「立ち寄った限りではな。とにかく広すぎて全部なんか見れないだろ。
毎回、全部見てるのかいつも?」
レイジ「いいや。ネットや噂で気になってた作家のブースを見て、あとは気まぐれだな」
マック「その気まぐれで出会う、奇跡の一品とかあるわけ?」
レイジ「あるときはあるな」
マック「シンちゃんとは、そんな感じの出会い?」
伸 二「レイジさんは、俺の恩人なんですよ」
マック「恩人?」
レイジ「シンちゃん、こいつには言っても分からないぜ。
全然こっちの業種とは関係のない人種なんだからな」
伸 二「そうなんですか? ここへ来るくらいだから何か関連業者のひとなのかと。
まぁ……会話を聴く限りでは違うとも思いましたけどね」
マック「ははぁ。実はお互い何者か探ってたってわけだ」
伸 二「探るなんてそんな。ちょっとの興味はありましたけど。
レイジさんが一般のお客さんを連れてくるのは珍しいと思ったんで」
マック「そうなの? 俺、特別?」
レイジ「違う。たまたまだ。さっき説明した。日程と地域が重なっただけ」
マック「別に連絡してくれなくても良かったのに。
このイベントの用事が終わってからメールしてくれたら良かった」
レイジ「じゃ、勝手に帰れよ。先に連絡して悪かった」
マック「そういう意味じゃないって。マジで怒るなよ。大人げないな。
シンちゃん、助けてくれよ。このひと機嫌が悪くなっちゃったよー」
伸 二「え、ええ?(^_^.) うーん、困ったな。
じゃ、逆にお二人はどういう繋がりなんですか? 何関連?」
マック「ひとのことを聞くなら、シンちゃんとの関係を先に話して欲しいけどな」
レイジ「おまえな。いい加減にしろ。失礼にもほどがあるだろ。
シンちゃんが温厚だからって、調子に乗り過ぎだぞ。さっきから何だ。
悪いなシンちゃん。不作法なのが個性だと思ってるバカだから相手にしなくていい」
マック「なんだよ。どういう間柄か気になるからただ聞いただけじゃん」
伸 二「構いませんよ。言われてみればそうですよね」
マック「ほらみろ。俺が正しい」
レイジ「気を遣われてるんだよ。バカなのか本物の。バカなのか本物の」
マック「なんで二回、云うんだよ?」
レイジ「いつも一回言うだけじゃ、分からないからだろ」
伸 二「まぁまぁ、ケンカしないで下さい。さっきからコントみたいですね。(^_^.)
俺、もとは贋作専門の陶芸屋だったんですよ」
マック「ニセモノのセトモノ屋さん?」
レイジ「面白くない」
伸 二「はは、まぁ、そうです。フェイク作品を作って複製品として売ってたんです。
でも事情があって、ある時、偽物を本物だと偽って流通させようとしたんです」
マック「さっそく出たな、ダークサイドが。レイジの世界だな?
それ聴いていい話か? 俺、ほう助罪にならない?」
伸 二「未遂だったので、大丈夫です。俺はレイジさんのお蔭で捕まらずに済みました」
レイジ「そんな正直に言わなくていいのにな……。大げさなんだよ。たいした話じゃない。
シンちゃんはそういうとこ、素直だよな。正直ものだから向いてないんだよ。
嘘をつくような汚い商売は。真面目に自分の作品を作ってる方がいい。
才能はあるんだから」
マック「悪の道に染まろうとしたとこを、レイジが暗黒街から助けたってことか? 要するに」
伸 二「暗黒街って?」
レイジ「バカの発言は気にしなくていい。夢見がちなボウヤなんだ」
伸 二「まぁ単純に言えば、そういうことになりますよね。悪の道に行かずに済んだ。
レイジさんは恩人です。人生を台無しにするとこだった俺を救ってくれた。
それで俺は全うな道を一からやり直すことができたんです。
その時に困っていた資金繰りの援助もして貰ったし、ここの窯元も紹介して貰って。
レイジさんには本当に感謝しきれないんですよ」
レイジ「やめてくれ。そんなことを云わせるために、来たんじゃないぜ、おれは。
もう忘れたらいい。シンちゃんがやりがいを持って、仕事できるようになっただけだ。
おれもそれで良い仕事ができれば、もっといい。恩なんか感じなくていいんだ」
マック「レイジもその時に悪の道からシンちゃんと一緒に脱出すれば良かったのに」
レイジ「おれを何だと思ってるんだ。おれは悪の道なんか通ってないぞ?」
伸 二「そうですよ。レイジさんは健全なディーラーですよ」
マック「怪しいなぁ……なんか闇の結束の匂いがするんだけど。暗黒街の掟みたいな」
レイジ「言ってろ。おまえはマフィア映画の観すぎなんだよ。
いい加減に暗黒街ファンタジーを卒業しろ」
マック「あんたが時々、脅かすからだろ。未だに暗黒街は灰色ゾーンだよ。
まぁでも、シンちゃんとレイジの関係は分かったよ」
伸 二「では、今度はレイジさんとマックさんの関係ですね」
マック「え、それ言わないとダメ?」
伸 二「ええ? 俺は言いましたよ? 次はマックさんの番でしょう?」
レイジ「シンちゃん、こいつに常識とか順番とか約束は通用しないからな。
とにかく自分でした約束も平気でなかったことにするような、
信用ならない自分勝手でふざけた男なんだからな。バカの見てくれを信用するなよ」
マック「そこ……随分こだわってるんですね……」
伸 二「ははぁ。レイジさんに信用ならないと言わせるなんて、かなりの人材ですね。
ますます興味がわきましたよ。一体、何者なんだろう?」
レイジ「シンちゃんまで話に乗るなよ。簡単な話だよ。
マックはシックスティーズのベーシストなんだ」
伸 二「ああ! そうなんですか! なるほど。じゃあナオトさんの後任のひとですか?」
レイジ「そうだな。ナオトのすぐあとかな」
マック「なんだよ。それで通じるのか。つまんねぇオチ」
レイジ「そうだ、ナオトからも何かシンちゃんの新作を仕入れて来て欲しいと
頼まれてたんだ。奥さんへの贈り物だと。何かあるかな?」
伸 二「表に出してない品がありますから、あとで目録を送っておきますよ。
ナオトさんは時々、連絡をくれるんです」
レイジ「そうか。おれも仕入でたまに会うよ。すっかり骨董屋の主人が板についてきた。
あの様子じゃ、もうベースは弾けないんじゃないかな」
伸 二「ナオトさんはこの世界の水が合ったんですね」
マック「なんだかアットホームな感じですね。
シンちゃん、シックスティーズに来たことあるんだ」
伸 二「ありますよ。もとは東京なので。レイジさんに連れていって貰いました。
懐かしいです……ナルセさんもお元気ですか? まだ歌ってるんですよね」
マック「もちろん現役バリバリで、歌ってるよ。ナルセさまオーラ全開ですよ」
伸 二「ははは。ナルセさんカッコ良かったからなぁ。また聴きにいきたいですよ。
今はマックさんもいるなら、ぜひ」
レイジ「今度、東京に来るとき行けばいいさ。連絡してくれ。
もしおれが行けなくても、ステージにはいつもマックがいるしな。
今の歌姫は、結構スゴイぜ。かなり聴きごたえがある。他の店ではあれはないな」
伸 二「へぇ。レイジさんが凄いというからには、相当でしょうね。聴いてみたいな」
マック「MCは天然だけどな。素ですっとぼけてる。会話も噛み合わねぇからな」
レイジ「おまえがいうなよ。おまえはその天然のメリナさえも目が点になるようなMCをかます、
大ボケの逸材だからな」
マック「え、そうなの?」
レイジ「自覚がないとは驚きだ」
伸 二「なんだか昔よりずいぶん面白そうですね。シックスティーズは変わったのかな」
レイジ「空間は変わらないが、ステージに少々お笑いが入るようになったのは否めないな」
マック「それはメリナとキタさんのせいだよな?」
レイジ「お嬢ちゃんに同じセリフを返されるぜ。いいコンビだよ、おまえら」
マック「そうですかね。あ、これシンちゃんが作ったんか? いいな、このぐい飲み。
色がいいよ。夏の夜空みたいだ。薄い藍色で星っぽい柄。俺、これ買おうかな。
値札ないけど、めっちゃ高いのこれもしかして?」
伸 二「気に入ってくれたなら差し上げますよ。マックさんに」
マック「なして?! なんばいよっとか、そいはダメたい。商売もんなら売らんば。
俺だってステージでは金とるぜ? それが対価ってもんだろ。
うん。でもちょっとまけてくれてもいいですよ」
レイジ「まけて貰って買えるような値段じゃないぜ。シックスティーズのバンドマンに失礼だったか。
未来の大物がくれるっていうんだから、貰っとけよ。まぐれでも良いものを選んだな」
マック「これ、やっぱりすげー高か? おれ、空気読めんこと言った?」
伸 二「本当にいいんです。作家は気に入ったひとには作品は差し上げます。
この広いよくわかんない会場内で、偶然出会えた奇跡の一品ですからね。
大事に使って下さい。使うほどに味がでますよ」
マック「まじで。シンちゃん、いいひとだなぁ。大事にするよ。名前が売れたら教えてくれ。
じゃ、シックスティーズに来たら曲をオマケするよ。なんでもリクエストして。
俺がどれでも弾くから。重低音炸裂な」
レイジ「ベースで弾いたってわかんないだろ。恩を仇で返すようなものだな」
マック「それもそうだな。わかった、じゃ、ナルセに胸チラをサービスさせる。
あ、メリナの方が良かったかな? なんせ胸と態度だけはデカイぜ、うちの歌姫は」
伸 二「楽しみにしてますよ、歌姫のほう。(笑)」
マック「おっ♪ シンちゃん、意外と巨乳好きね?」
伸 二「え。やだな、歌ですよ! 歌のことです! そんな、違いますよ!!」
マック「いや〜、男ならばってん、しょんなかさ〜ヽ(^。^)ノ」
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