☆銀/魂パロディ

〜星影のバラード〜
洋楽オールディーズの邦題ってなんか恥かしいけど原題はもっと赤裸々

登場人物:銀時/土方
場所:真選組屯所の屋根の上




銀時「夜空が綺麗だなぁ・・・」


土方「星空のバラードって感じだな」


銀時「……はい? あのもしもし?俺の聞き間違いですか?
   なんですか?そのまさかの乙女ロマンチスト語りは?」
土方「ちげーよ…そういう異国の歌が あンだよ るせーな」
銀時「星影のバラード? どんな歌?」
土方「しらねぇよ」

銀時「知らねぇのかよ!タイトルだけで雰囲気ですかコノヤロー
   ワイン飲んで知りもしないのに これは1967年ものですねとか言うんだろ」
土方「そんな感じがしたんだから しょうがねぇだろ ワインは好みじゃねぇ」

銀時「土方くんは 意外とロマンチストだよね 乙女思考だよね
   でも星影のバラードっていったいナニ?草葉の陰から鎮魂歌みたいな感じ?」
土方「はぁ?そんなんがロマンチックなわけねぇだろ アホか
   お前の恋愛経験値どんなだよ 陰湿エロイムエッサイムか」
銀時「だってさ 異国の懐メロ邦題って意味わかんねぇもの多くね?
   俺は常々思ってんだよ 例えばさ『カラーに口紅』って何だよ?
   化粧は口紅だけってこと?もっとメイクしろよ
   そんなんだから振られるんだよ ナチュラルメイクの女なんか
   ただの手抜きだよ?朝5分メイクだよ?ただのオバハンメイクだよ?
   それに『悲しき街角』ってドコ?年がら年中お葬式の街?老人率高い過疎地なの?
   あと『悲しき雨音』ってそれうちの家で天井からの雨漏りを
   金タライで受け止める時のあの貧乏くさーい音のことだからね?
   『悲しき叫び』は想像するのムンクの叫びだからね?
   ムンクちゃんオーマイガ〜!だろ 13日の金曜日ばりのスクリームホラーだよ
   『恋の片道切符』も悲しすぎるだろうが?買うなら往復キップでお願いしまァす!!
   でももう片道しかいらないんですよ…て自殺しにきたリストラのお父さんですか?
   悲しみノンストップ急行だよ!誰か止めてあげてぇ!!この人危ないですよォ!
   しかも『悲しき鉄道員』が来た日にはもう恐ろしすぎるよ お父さん片道キップで
   あ〜あ〜やっちゃたなオイって流れだよ? 鉄道員真っ青だよ?
   もう徹夜で片付けだからね もう想像したくねぇよ
   あと『ハートでキッス』って原題直訳したら『愛を探します』だからね?
   ハートでキッスじゃなんかじゃ 愛 伝わらなくね?
   心ではキッスしたつもりですけど何か?的な思わせぶりな嫌な感じじゃね?」

土方「…別にいいじゃねぇか
   愛を探してきますじゃ 家出した旦那の書置きみたいになるだろ
   よくもそんなにだらだら文句が言えるな 夜が明ける勢いだわ
   中にはな 名作と言われる邦題もあンだよ
   お前にはその絶妙な訳詩のサジ加減がわからねぇのか 素人め」
銀時「たとえば? 例えばじゃあどんな絶妙なのがあるの?
   どんなステキなスプーンで掬ったら あんな訳加減になんの?」
土方「有名なのがアレだよ アレ『君の瞳に恋してる』ってあるだろ
   あれの原題直訳は【あなたから目を離すことができません】だ
   な? 巧いこと言うじゃねぇかよ?
   どうだ 膝をうちたくなるよな 名邦題だろが」
銀時「アレってさぁストーカーの歌なんじゃねぇの?あの歌詞 絶対女だよ
   あの女 何かこえーよ ミステリー&サスペンスだよ
   ネットで歌詞検索してみ? 夜 絶対寝れなくなるぜ」

土方「違ェわァァァ!! 恋人に対する深い想いを歌った歌だ 変なこと言って
   名曲を汚すんじゃねぇ! 謝れ! フラ○キー・ヴァーリに謝れ!!
   そしてボーイズ・タ○ン・ギャングにも指を詰めて詫びを入れろ」
銀時「なにそれ どこのギャング?言っとくけど俺はドン・コルレオーネ派だからね
   ファミリーで朝食を囲むタイプだからね 家庭菜園とかもやっちゃうからね
   もっとも お前が俺に向かって歌ってくれるなら そう思ってもいいけど?」

土方「誰がお前なんかに歌うか ボケ いつまでも屋根で星見て 風邪引いて死ね」
銀時「ひでーな だいたい下のどこにいてもイチャつけないから 屋根に上ろうって
   そんな感じで誘ったの お前じゃなかったっけ? このクソ寒い夜によ」

土方「勝手な翻訳をすんな そういう意味じゃねぇよ 俺はもっと…」
銀時「何だよ 似たような意味じゃねーの? 要するにそうだろ」
土方「違うな 訳し方で全然イメージが違うだろ お前のは…直訳的翻訳だ」
銀時「なんだよ じゃあ目的はあってんじゃんかよ 要するにアレじゃん
   どうでもいいけど この寒さで『悲しき息子』になりそうなんだけど俺
   俺的には悲しきシリーズはお断りなんですけど 早く息子に暖をとらせて!!」

土方「ちッ ムードのねぇヤツだな お前の頭の中は年中ヤルだけかよ 中二か」
銀時「だっから 一番バカな年頃に例えるのはやめてくんない? 銀さん大人だからね」
土方「大人なら星空眺めて ちょっと黙ってろよ 寒いならこっち来ればいいだろ」

銀時「さっき近寄ったら抜刀されそうになったんですけども?
   副長サンはもう忘れましたか?」
土方「お前の鼻息が荒いからだろ もっと静かにできねぇのかよ お前は」
銀時「できねーな 相手が土方くんじゃ 興奮しないでいろって方が無理ですから
   ホント勘弁してください もう悲しきシリーズ全巻読破!みたいな気持ちで
   いっぱいなんですけどコレ もう続編ないの?これで終わり?こんなんで完?」
土方「休載中だ またの再開をお楽しみに」

銀時「おいおい ジャ○プだと永久に最終回だよねソレ もう次の別の新連載とか
   他の雑誌で新しく始まったりするパターンのやつだよね?」
土方「違う あくまで休載だ だが気をつけろ たまに『悪魔の花嫁』
   みたいに〈最終章〉が突然始まることもあるからな そうなると
   休載中までの過去全巻が読みたくなって仕方がなくなりついつい電子コミックの
   大人買いをしまい 新年早々賀状も書くのを忘れて読みふけったりする…」
銀時「それコレ書いてる人のことじゃね? 俺ら関係なくね? てかこれいったい
   どんな話? 土方くん いつまで屋根に上ってるワケ?
   この状況 おかしくね?」
土方「しらん …まぁいいか そろそろ下りるか」

銀時「えっ 下りるの?」
土方「なんだよ てめぇが下りたそうにしてたんじゃねぇか」

銀時「いやいやいや 待て待て待て ここに来た目的は?
   俺をわざわざ屋根に呼び出した わけがあるよね?
   俺たち会うの数ヶ月ぶりだよね? やっと二人きりで会えたよね?
   こんなに寒いとこに呼び出しておいて 懐メロ邦題の付け方の議論しにきた
   わけじゃないよね?そうだよね? まさか手の込んだ嫌がらせなのか?」
土方「邦題にケチつけたのはてめぇだろうが 嫌がらせならお前だけ上がらせるわ」
銀時「え ちょ 怒ってるの? 何で?
   星影のバラードって そんなに好きな曲?」

土方「そんなん聴いたことねぇよ 題名だけ知ってたんだよ」
銀時「なんだよそれ」
土方「だからムードだつってんだろ なんなんだよ だからてめぇはモテねぇんだ」
銀時「あ そう じゃあ百歩譲って 星空が綺麗だな まるでバラードのようだね
   そうだねハニー って初めからやり直す?
   俺はいいよ それでも全然いいけどね」

土方「もういい どうせ意味わかんねぇんだから
   妥協で言われたって しらけるだけだ 寒いな…雪でも降るのかな
   下りようぜ 悪かったな 俺ら 会うの久々なんだよな
   早くホテル行こうぜ お前の目的はそれなんだろ?
   早くやって お互い気持ちよくなろうぜ」
銀時「ちょっとまてェ!! それじゃなんか下りにくいだろーが こんな状況!!
   ホテル目的ってなんか俺がものっそい いかにもヤルだけ男だろうがコレ!!」

土方「・・・そうなんだろ? 呼び出しにホイホイ来たのは セックスが目的だろ?」
銀時「(・・・かっちーん)
   分かった!! 帰るわ 俺 じゃあな」

土方「…いいぜ 帰れば?
   正月早々 お呼び立てして悪かったな
   俺は もう少し 星 眺めてから下りる」

銀時「……だァーー!!面倒くせぇ!!
   いい加減にしろよ お前ッ!!
   なんなんだよ どうしたいんだよ 土方?
   そんな拗ね方すんなよッ
   生理前の彼女でも もう少し分かりやすいわ!!
   セックスすんのがイヤになったなら 言えばいいだろが
   女じゃねぇんだからよ 簡単だろ セリフはNO!!だよ」
土方「別にNOとか言ってねぇだろ!
   お前こそ なんか変なことベラベラ喋り出して
   結局 俺としたくねぇんだろが! 問題を挿げ替えるなッ」
銀時「はぁ? 俺はいつでもしてぇけど お前が嫌なら無理強いはしねぇよ」

土方「だから嫌なんて 言ってねぇだろ ただ…少し
   星でも見て……ちょっとの間 落ち着きたかったんだよ」
銀時「俺は星なんか見るなら お前を見てたいけどね お前が俺のスターだよ
   って何コレ 何で俺こんなコッパズカシイこと言っちゃってんの?
   もう悲しみのジェットプレーンだよ ロッキー山脈に激突だよ
   ラブミーツモローで明日も愛してくれないならエンドオブワールド
   この世の果てまでだよ やっぱ異国懐メロってストーカーの曲 多くね?
   な 頼むからもう 下りてくれ 頼むから 300円あげるからァ!」

土方「何ごちゃごちゃ言ってんだよ 独り言なら帰って言え
   何でも300円で片付けられると思うな なんだかんだ言ってお前
   懐メロの曲よく知ってんじゃねぇかよ?
   星影のバラードも ホントは知ってんだろ どんな歌か 俺に教えろ」

銀時「やだね 知ってたらどうだよ お前はしらねぇくせに 簡単に口にすんなよ」
土方「簡単に口にしちゃいけねぇ歌なのか」

銀時「…そうだよ あれはなァ
   言葉で言えないほど お前が好きだ
   明日になったら 2倍好きになってる―――そういう曲なんだよ 覚えとけボケ」

土方「知ってるわ ボケ」

銀時「おま…ッ どんだけだよ 腹立つんですけどコレ すんごいムカツクわ
   お前のこと 屯所からさらって逃げていい?」

土方「いいぜ―――とっととそうすれば 良かったんだ
   仕事はとっくに終ってんだよ」

銀時「何? ナニこの感じ? うっとおしそうに 煙草なんかふかしちゃって
   感じ悪ッ どうしてそう 素直じゃねぇのよ 土方くんは」

土方「久々に会って…なんて言やァイイんだ
   …お前に触りたいとか したいとか んなコト ズカシくていえるかってんだ
   アホ お前が近くに来ただけで なんか アレだよ 
   心臓がバクバクして 落ち着かなくなったんだよッ しるかボケ」

銀時「え マジでか」

土方「お前のせいだからな
   だから なんか自然な流れになるように 星空なんぞ眺めてやってたのに
   なんだよ てめぇは ちっとは空気読めや 天パァ」
銀時「!! 分かった 逆ギレされても しゃーないわな そっか
   お前のせいだって言われるなんざ 惚れられてる証拠だよなァ」
土方「惚れてねぇ」

銀時「銀さんが悪かったよ な でも そんなん気にしなくても
   俺に抱きついてきてくれたらそれで良かったんだぜ?それで解決したのに」

土方「女子供じゃあるまいし そんなことできっか ふざけろ」
銀時「そーだよな 土方くんらしいわ なんか 気ィ抜けたわ
   俺も会うの久々で ちょっと気ィ張ってたからな けど安心した…」

土方「何がだよ 何を安心したんだよ」

銀時「緊張してたのは 俺だけじゃなかったってこと
   ずっと 俺に逢いたいって 思ってくれてた?」


土方「思うわけねぇだろ これっぽっちも思ってねぇってんだよ
   星屑の数くらい思ってねぇんだよ 死ね 死んで星になれ」

銀時「へいへい 素直じゃないねぇ(ーー;)」







嘘だ

思ってたよ…ずっと 思ってたさ

ちくしょう…

言葉で言えないほど お前が好きなんだ

なんて

言葉で言えねぇのに どう言えってんだよ

なぁ? ふざけんなってんだよ

星影のバラードだ? ろくなもんじゃねぇよ

けど なんか



なんか 雪のように儚く煌く

星々の気持ちが 流れ込みそうな

  優しくて静かなこの感じは いったい何なんだろうな?


教えてくれよ なぁ

星空を眺めて 想うのは こういう感じじゃねぇのかよ?

そうだろ? お星さまよ



――――なぁ?






☆THE END☆

※窓を閉めて戻ってネ