☆銀/魂パロディ

七夕で三回願いを云っても無駄


登場人物:銀時/神楽/新八
場所:万事屋 事務所


神楽「銀ちゃァん 七夕って何アルか?
   何か食べたりするアルか? 何を食べて お祝いするアルか
   牛なのか豚なのか鳥なのか酢昆布なのか どれアルか?
   七夕は 何を食べたらいいアルか?」

銀時「あァん? なんで てめぇは食べること限定なんですかコノヤロー」
神楽「七夕は笹に包んだ梅干を牛皮に巻いて食べるって
   聞いたことアルようなナイようなナイようなアルような どっちアルか」
銀時「それどこの星の行事ィ? ちっげーよ 七夕っていうのはだなぁ…
   昔々 星流しになった恋人を 天の海グランドラインを超えて
   遥か旅に探しに出る 海賊のお姫様の一大スペクタルアドベンチャーだよォ
   行く手には 腰痛のキャプテン座ろうと 大イカの塩辛怪物が 恋の行方を
   邪魔しにくるんだよ それが 七夕祭りだ」
神楽「ホントアルか! スッゲーアルな!
   王子様をハントする海賊乙ゲーアルか!?」
銀時「んー まぁ 似たようなモンだな いいんじゃね?
   別に 七夕 そんな話でいいんじゃね」

新八「違うわーーーー!!
   何適当なこと教えてるんだ!ぐーたら反面教師がァ!
   星流しって何だよ!島流しのことかァァァ?!
   もう!適当な話しないで下さいよ 神楽ちゃん 七夕っていうのはね
   離れ離れになってしまった恋人同士が 年に一度 天の川を渡って
   お互いに会いに行ける ロマンティックな恋人たちの話なんだよ」
神楽「天の川て 何アルか」

新八「天の川っていうのは 星の川だよ 夜空に沢山の星で出来た大きな川が
   この七月七日にだけ 見えるという言い伝えなんだ」

神楽「マジあるか! そんな川があるアルか!? 何が釣れるアルか
   オールブルーあるか イーストブルーとウエストブルーの
   全ての食材が 入手できる幻の川アルか どんな魚が人気アルか」
新八「いや 川の方はどうでもいいから 重要なのは 離れ離れになった
   織姫と彦星が 年に一回会えるってとこだからね 人気の魚も居ないから
   笹の葉に括りつけた短冊に お願いを書いて飾ると 叶うとされているんだよ」

神楽「織姫と彦星は パンダ星人アルか 笹に餅を巻いて食べるアルか」
新八「いや 笹だけどね 笹を食べるわけじゃないからね チマキでもないからね
   そうだ 銀さん うちでも 七夕祭りをやりましょうよ!
   笹に短冊をつけて 皆でお願いしましょう」
銀時「えーッ やだよ そんなガキくせぇこと 寺小屋以来だよォ?
   おらァ 短冊なんぞ そんなもん 書いたことねぇけどな」

神楽「願いが本当に 叶うアルか? 酢コンブ 酢コンブ 酢コンブ…」
新八「いや 流れ星じゃないから 三回云っても無駄だから
   それに年に一度だけ 願うものなんだから 会いたいひとに会えるような
   そんなお願いをしてみたら どうかな?」
神楽「別にわたし …会いたいひとなんて いないアル」
新八「そう? お父さんとかは? 星の間を飛び回ってる
   海坊主さんなら 星も願いを 叶えてくれるかもしれないよ?」

神楽「…銀ちゃんは 何て書くアルか?」

銀時「チョコレートぱふぇ いちご牛乳 プリンアラモード…」
新八「いや 唱えると叶う 呪文的なものでもないから」
銀時「つーかさァ だいたい 年に一回って どーなの?
   彦星 浮気し放題じゃねーの?
   もう今ごろ 他所の女にイエス・フォーリンラーブだよ
   年に一回 子供に会わせて貰う離婚した父親じゃあるまいし
   なんで昔の女に いちいち 会わなきゃなんねーの? 年々 たりィ〜とか
   云ってんじゃねぇの 彦星ィ?
   もう こんなのテキトーにすませておけばいいんじゃね?みたいな
   とにかく会っときゃ良いんダロ? それで皆の期待を裏切らないで済むんダロ?
   的な そういう態度の悪い彦星なんかに なんでこっちから頭下げて
   願いを叶えて下さいって お願いしなきゃなんねーんだよ 冗談じゃねぇわ」

新八「いや それ 勝手に話作ってるからね 彦星が浮気してる前提で
   話進んでるからね ひとっことも 浮気してるって 彦星は云ってないからね」

神楽「スコンブ スコンブ スコンブ…」
新八「だから 流れ星じゃねーよ!! しつけェェーーー!!」
銀時「もー どうでもいいじゃん ぱっつあん 願うくらい勝手にさせてやれよォ」
新八「駄目ですよ! とにかく! 商店街の人に頼んで
    ぼく笹を貰って来ますからね
    短冊も持ってきますから ちゃんと お願い事 考えといて下さいよ!」

銀時「って オイ! ちょ なんだよ アイツ もう行っちまったよ」
神楽「…銀ちゃぁん しんぱちのヤツ 何そんなに 七夕したいアルか?
   そんなに 願い叶えたいこと アルのかよ?」
銀時「あー あれだろ アレだよ お通ちゃんと どうにか的な アレだって
   お通ちゃんとニャンニャンできますようにィ〜みたいなことだろ どうせ
   お星様にお願いしなきゃ叶わないような 遠い遠いアンドロメダ星雲より
   遠い儚い 願いだよ」

神楽「銀ちゃんは …マヨラに会いたいて 書くアルか」

銀時「――は?」
神楽「最近 マヨ 来ないアル」

銀時「ああ… 忙しいんだろ てか来る用事がねぇんだろ」
神楽「前に 銀ちゃん居ない時 マヨが来たね だから あんま来るなよて
   わたし云ったね マヨのヤツ 馬鹿ちんだから ちゃんと守ってるアルか」
銀時「そうなのか でも別にそうじゃなくて 単に来たくねぇんだろ」
神楽「ケンカしたアルか?」
銀時「はぁ? ケンカも何も…」

神楽「酢昆布持ってくれば 来てもいいて わたし云ったネ
   全然来んなって 云ったわけじゃ ないネ」
銀時「来たくなったら 来んじゃねぇの? 関係ねぇよ」
神楽「わたし ただ 銀ちゃん 帰ってこない日 少し寂しいて 思ってただけネ
   別に銀ちゃんのこと 独り占めしたいて 云うわけじゃないネ…」

銀時「神楽 おまえ…」

神楽「マヨラ 短冊に 銀ちゃんに会いたいて 書いてるかもしれないネ」
銀時「いや ナイ それはない 絶対ナイ」
神楽「わたしも パピィに 会いたくないってわけじゃないネ
   でも パピィは宇宙の平和を わたしは わたしの ここでの
   小さな平和を わたしの大事な人たちを 守りたいアルよ
   お互いやりたいことしてて わがまま云うのは 悪いことよ」

銀時「別に 悪いことなんかじゃないさ 家族に会うのに わがままとか
   悪いこととか いっこもねぇと思うぜ
   けどよ あのハゲは… いや おまえのパピィは おまえに会いたくなったら
   天の川でも 泳いで会いにくるね いや モーゼみたいに 天の川 真っ二つに
   割り裂いて やってくるぜ きっとな」
神楽「モーゼあるか? スゲーなパピィ!パねぇな!」
銀時「ああ オニパねぇぜ あのおっさんにとっちゃ 星なんざ石ころみたいなもんだ
   おまえだって 会いたい時は 遠慮なく会えばいいんだよ
   ゴクウみたいに 星をかち割ってでも 行けんだろ」

神楽「そうアルな お星さまにお願いするまでも ないアルな」
銀時「そうだよ 別に短冊に願いなんか 書かなくたって
   俺も マヨも 会いに行きたけりゃ 泳いででも 会いに行くさ
   おまえが気にするこたねぇんだよ 神楽」
神楽「そうアルか… 銀ちゃん怒ってないアルか」
銀時「怒ってないさ マヨだって 怒ってねーよ」



新八「銀さァん!神楽ちゃん!笹貰ってきましたよ!
    さぁ短冊書いて 飾りましょうよ!」

銀時「おーい ぱっつぁん 空気読めー
   せっかく 星なんかに頼らず生きてくことを 決めたのによォ
   まったく台無しじゃねーかァ」
新八「え?何ですか? ねぇ 神楽ちゃん お父さんに会えますようにって
   書くといいよ ね?」

神楽「・・・ぱっつぁん」
新八「なんだい?」
神楽「わたしの願いは 酢昆布 三年分アルね」
新八「マニアな願いごとだなオイ ちょ 銀さん 何書いてんですかそれ
   『チョコレートパフェ ホットケーキ あんみつ ワッフル』…って
   短冊 甘味屋のメニューみたくなってんですけどォォォ!!」

神楽「『メガネ』の絵も 書いておくネ」
新八「メガネの絵 書いてどうすんのー?!」
神楽「コンタクトレンズと書く方が いいアルか? コンタクトレンズの絵 難しいネ」
新八「いや 別に ぼく メガネが嫌とか 思ってないからね
   むしろメガネ大好きっこだからね ていうか
   コンタクトレンズの絵の方が 簡単だからね」
神楽「わかたよ そしたら お通ちゃんと 『ピーーー』したいとか書いたらいいネ
    青い春に ありがちな 酸っぱい過ちを犯したらいいネ」
新八「ちょっとォォォォォ! そんなん思ってないから!
   ぼくは そんなん全然思ってないですからァァァ!!」

銀時「あーもー ガタガタ云うなって たかが短冊にうるさいよ
   おめーら ガキだな こんなん適当に書いときゃいいんだよ
   こんなもん お星様だって あっちこち短冊読んでる間に
   朝になっちまって しまったー!夜が明けちまったよ どーすんだよ
   まぁもう 残りは来年でいいかァ みたいなもんだよ?
   てきとーでいいんだよ こんなもんわァ
   短冊なんかに 書いて 叶うわきゃねーんだよォ」

新八「『サラサラヘアになりたい』とか 書いてるの誰ですか」
銀時「銀さんのサラサラヘアへの願いは 何よりも切実なんでェす!」
神楽「銀ちゃんの甘いもんメニューだらけで もう結ぶトコ無いアルよ」

銀時「しゃーねーな じゃ 銀さんが最後の一枚を 万事屋代表で書いといてやるわ」

新八「ちょっと! ぼく一枚も書いてないんですけどォォ!!
   闇鍋状態じゃないですか この笹!!どんな七夕だァァァ?!
   織姫と彦星 腹痛起すわ!!」
神楽「大丈夫アル ちゃんと わたし 新八のために
   『メガネ拭き』 書いておいてあげたアルね 良かったな メガネ」
新八「別にいらないからね!そんなもん! 願うホドのもんじゃねーからソレ!!」

銀時「よーし できたァ
   おまえら 空に向かって 手ェ合わせて願えー
   織姫さーん 彦星さーん 聞いて下さいって 10回云えー」

新八「何をですか メガネ拭きくださいってですか」
神楽「コンタクトレンズ コンタクトレンズ コンタクトレンズ…」

新八「だから いらんわーーーーー!!」




まー めんどうくせぇからよ

星に願ったりは しねぇけど
たぶん 誓うには いい夜空だ


このちっぽけな おれの大切なもの この国の
おれの大事な こいつらのことを


 『今度こそは 命に変えても 護り抜けますように――――』


BY 坂田銀時




☆END☆

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