☆銀/魂パロディ

誕生日が国の記念日と重なってると祝日だけどなんか損
(後編)


登場人物:土方/銀時
場所:光栄劇場(映画館)



「…やっぱり ここに居たんだな」

「どうして俺が ここにいると 分かったんだ?」
「おまえの行くところなんて お見通しだ」
「は…おまえには 全部バレてるってわけかよ」

「今日は 一日中 おまえを探したぜ 行きそうなところを
 全部回ってみた そして 最後に ここへたどり着いたというわけだ」
「へぇ そりゃご苦労なことで それで? 何故 俺を探してたんだ?」

「表へ 出ろや」
「え? だって映画 もう始まるぜ?」

「いいから 出ろって云ってんだよ!」
「何 怒ってんだよ? 俺 何かした?」
「どうでもいい とにかく 出ろ 話がある」
「…分かったよ 俺も 話がないわけじゃねぇよ」



「…あぁ もう夏の匂いがするな 最近 季節が変わるのが早いよな…
 それで? 話って何だ?」

「…別れよう」
「いきなりだな 俺の居場所を探し当てて それか?」
「俺の誕生日に 別の男と会ってたんだろ」
「! …まさか… そんなことするわけねぇだろ?
 ちょっと落ち着けよ? 誰にそんなガセネタを聞いた?」
「うるさい!! おれとは 遊びなんだろ
 都合のいいセフレで 貢いでくれる便利な財布だと 思ってたんだろうが」

「そんなことねぇよ 一回もそんなこと 思ったことはねぇよ!」
「嘘つきやがれ…」

「嘘なもんか おまえを好きだよ 愛してるよ?
 たしかに俺は 金もないプーだが おまえを金だと思ったことはねぇよ」

「本当に? 信じていいのか? …銀…次郎…!」
「ああ 本当だとも 十…三郎…好きだ!!」

「あっ…こんなとこじゃ ダメ…だ あ… ああッ…銀次郎!」






なななななぁんじゃぁこりゃーーーー?!
Σ( ̄□ ̄)!


なぁんで大衆映画館で ホモ映画絶賛上映中ぅぅ?!
『遅ればせながら☆5月5日はボーイズラブ♪サービス感謝デイ』って
なんじゃァそりゃァァァァーーー!!
こんな日に 誰に対するサービスゥ?!

俺の誕生日に 勝手にそんな感謝デイ作るんじゃねぇよ!!
オカマの日は 4月4日だろうが!!
先月だろうが!! 空気読め!! 約束守れェ!
何ちょっと遅れちゃったケド☆みたいな感じなんだよ!
そんなモン5月5日にされちゃ 不愉快なんだよ!!
青少年の育成に問題出るだろーが!
子供の日に なにコアな成人映画上映してんだよ!!
どーなんだ コレ?!
いいのか コレ?!
実は同性愛シーンのカットなんか全然ないけど ポスターだけは
BL臭ムンムンで 想像だけしてね?的なムーのポスターくらい解せんわァァァ!!

しかも登場人物の名前が 微妙にムカツクんだよ!!!
イラッとくんだよッ!! めっさ 感じ悪いんだよ!!
こんなもん わざわざ 観に来たわけじゃねぇわーーーー!!!



ん?

ちょ ナニ コレ?

いや これ ヤバイ
コレ 絶対ヤバいって…
何 コレ なんなの コレ

なんか 周りの男どもの目つきが イジョーに
俺に 釘付けなんですけどォ!! 血走ってんですけどォ!
なんか ハァハァ云ってるんですけどォォ!!

オィィィィィィィーーーー!!
股間弄りながら 俺をみるなァァァ!!
その血走った目は やめろォォォ!!!!!
モザイク入りっぱなしの破廉恥映画の方を観ろォォォ!
ヤメテェェェェェ!!
こっち見ないでェェェェェ!!

俺 違うから ホント違うから 勘弁して下さい
俺はそういうんじゃないから 違うからね
全然知らなくて 間違って入ってきちゃっただけだからね
ただの一般ピーポーだからね
ただの子羊的な 怯えた小動物だからね?
って イヤイヤイヤ それなんか 余計にマズイんじゃね?
いや ホント すいまっせぇぇぇぇぇぇぇぇんんんん!
勘弁してくださァァい!!


モホ男「ねぇ…キミ 可愛いね… いつも こういうトコでオトコ漁ってるの?」
土方 「(ヒィ!) いえ 違います
    ハッテン場とか そういうの ボク興味ないんで サヨウナラ(棒読み)」
モホ男「やだァ 恥かしがらなくていいんだよ♪ ねぇ…」
土方 「どぁぁぁ!! てめぇ! 汚ねぇモン出すな! 指一本でも俺に触ってみろ!
    てめぇのモン二度と使えねぇように 根こそぎ たたッ斬るぞ!」


銀時 「はーい そこのお客さァーん
    映画上映中のお喋りとナンパとナニの抜刀は 厳禁ですよーコノヤロー
    トイレ行ってヤレー 順番にトイレ行って 気に入ったら オス同士で繋がってろー」

土方 「…ッ!? 万事屋…!!」

銀時 「え アレ? 土方くん? 何? なんでこんなとこにいるの?
    ちょ お前なんつーもん観てんの? 銀さんというものがありながら
    ナンパされちゃってんの? 勘弁してくれよ なんだよソレェ
    悪いな おっさん それ俺のツレだから ハイ 踊り子さんに触らないでぇー
    この踊り子さん 暴れると手がつけられないから ホント勘弁して欲しいから」

モホ男「ちぇッ なあんだ 彼氏いるなら そう云ってよ お邪魔しましたァ」

土方 「…んなッ! 彼氏なんかじゃな… ちが…!!」  
銀時 「おいおい 助けてやったんだから 空気読め さっさと 出るぞ
    他のオスの目 ハンパねぇよ なんなのお前 モーホキラーですか?
    なんつーとこ 来てんだ ったく おめぇはよ… もうドMでしょうがねぇな
    どこまで 天然ドMなんだよ ボーっとしてっと 突っ込まれんぞ」
土方 「…んだとォ! てめぇこそ! なんでこんなとこに…」

銀時 「まぁ とにかく 出ろ ホモの痴話喧嘩と思われるのは 嫌だろが?」
土方 「…チッ」






銀時「あー なんか夏の匂いしねぇ? 生温い夜の風って ムラムラしねぇ?
   最近 温暖化で 季節が異常に早く巡ってくる感じな?」
土方「…やめろ どっかで聞いたようなセリフ云ってんじゃねぇ 寒気するわ」

銀時「いやいや 土方クン なんであんな映画 観てたんだよ?」
土方「観てたわけじゃねぇ たまたま 映画観ようと思って入ったら
    あんなのやってたんだ… 不可抗力だ てかありえねぇ目録だろ」
   
銀時「なぁんだ てっきり寂しくなって オトコ漁ってたのかと 思っちゃった」
土方「んだとォ? 冗談じゃねぇわ 俺はそんな不自由してねぇわ!
    おまえこそ! なんであんなとこに 居たんだよ?!
    てめぇの方こそ 可愛いコでも 探してたんじゃねぇのか!
    そういう趣味かよ!」
銀時「いや 銀さん おめーとそういうコトになってから
    そういう趣味の否定はしねぇけど 別に可愛いコちゃんとか探してねぇよ?
    だって可愛コちゃんは ここにいるしさァ」
土方「〜かわいこちゃんとか 云うなァァァ!!」

銀時「ハイハイ スイマセンでしたァ 失言でしたァ
    …ハァ〜 せっかく映画館のバイトやってたのに パァになっちまったぜ
    どーしてくれんだよ バイト料出せ 300円でいいから」
土方「なんで俺が …アルバイトだったのか」

銀時「そうだよ 金…落としたんだ 今日のご飯代も無くなってさァ だからさ…」
土方「摩っちまったんじゃねぇのかよ マダオと競馬で …推測だけどな」
銀時「ななななな なんで? なんでそんなリアル名前で推測ゥ?!」
土方「さァな お前のやることなんざ単純なんだよ 当たったんだろ?」
銀時「イヤイヤイヤ 当たってねぇよ? 全然当たってないからね?」

土方「・・・・・」
銀時「・・・・・」

土方「おい 何か云えよ」
銀時「何を?」
土方「気まずいだろが 何か云え」
銀時「気まずいって お前 お前が何か言えよ」
土方「ハァ? なんで俺が 云わなきゃなんねーんだよ?
    映画館から 勝手に引っ張り出したの てめぇだろうが」
銀時「んだァ? 俺は助けてやったんだろが? ハァ? 何云ってんの?
    もしかしてお前 あのおっさんと ホテルでも行くつもりだったんですかァ?
    銀さん お邪魔でしたかァ? それはスイマセンでしたァ〜」

土方「んだとォ? なんで俺が あんな小汚いオヤジと ホテル行かなきゃなんねーんだよ
    絶対無理だわ つか 侮辱すんなら たたッ斬るぞ テメェ」
銀時「文句の次には たたッ斬るたたッ斬るって…
    それしか云うことねぇのかよ 他にも云うことあるでしょ
    銀さん アイシテルーとか 大好きーとかさ」

土方「他のことも 云っても いいけどな」
銀時「! な なに?」

土方「…ブチ殺す」
銀時「同じじゃん!!」

土方「同じじゃねぇよ 斬るのと 殺すのは違う」
銀時「いや 同じだよね? 土方くんに斬られたら 死ぬの必死だよね?」

土方「…帰るわ もう 日も暮れちまったしな…」
銀時「そういや 着流しなんかでどうした? 仕事早く終わったのか?
    夜にそっちへ行くつもりだったんだけどよォ 変なとこで会っちゃったなオイ」

土方「今日は 休みだったんだ」
銀時「へ?! なんで? 昨日休んだのに? あ もしかして昨日ので
    腰 痛くなっちゃった…? いや〜土方クンたら めちゃめちゃがっつくから…」
土方「アホか!! がっついてんのは てめえだろが!
    おかげで総悟のヤツに…いや つまりだ 足を挫いてな
    たいしたことねぇんだが 近藤さんが 勝手に休みをくれたんだ…」
銀時「マジでか!! ったく なんだよ〜!! だったら何で云わねぇんだよ?!」
土方「関係ねぇだろ 知らねぇよ」

銀時「え〜! そんなんありかよ〜 せっかく誕生日 二人で祝えたのによォ」
土方「…今日 誕生日だって 知ってたのか」

銀時「あん? 知ってるに決まってんだろが 忘れてると思ってた?」
土方「てめぇは 昨日は何も言わなかったし 今日は用事があるっつったろ」
 
銀時「えー? そうだっけ? だってそもそも 今日の用事ってのは…」
土方「なんだ?」
銀時「あ いや その なんだ …アレだよ 今日は…その なんか用事があったんだよ」
土方「誕生日プレゼントでも買うために 競馬で儲けようとしてたか?」
銀時「ええ!? それも…推測ですか?」
土方「そうだと云いたいとこだが 昼間 定食屋で長谷川と会ってな」
銀時「え… 長谷川さんと? ヤベ…何か云ってた?」
土方「ああ 云ってたな」

銀時「(ドキ)…なんて?」
土方「お前 金使いの荒い 高飛車な冷たい女とつきあってるらしいな?」
銀時「どどどどどどうしてだよ? そんなん銀さん云ってないよ?!
    ややややだなァ〜 あ!マダオのヒガミ妬みだな〜!
    いやいやそれ全然違うよ? 銀さんの惚気 全然素直に聞けてないんだよね〜
    モテない男って ホント可哀相だよね〜 アハ アハハハハハ…」
土方「お前はそう思ってたのか? 俺のことだよな? それとも本当に女か?」
銀時「何? 女なんかいねぇよ お前のこと そんなん思ってねぇよ
   金使い荒いの最高! 俺の財布絶好調!! …あ ヤベ」
土方「やっぱりな」

銀時「いや 今のはジョークだよ? なんつーか タレ?いや テレ?
    何だコレ 浮気現場を押さえられた亭主みたいじゃねぇかよ
    なんかコッパズカシイだろ!!…で それで怒ってんの? 土方?」

土方「銀時」

銀時「へッ?! いきなり名前とかって 反則だろ なななに?!」
土方「俺は お前を立てなきゃならねぇような 立場でもねぇし
    女じゃあるまいし プレゼントなんか貰っても 別に喜ばねぇ
    金はある方が出せばいいと思ってるし なきゃ次に出しゃいい
    まぁ お前は俺に ちょっとたかり過ぎだけどな つか…大体だがな」
銀時「ハイ スンマセン」

土方「それとな その なんだ」
銀時「なに?」

土方「…アレを 付け過ぎだ ちょっと…自重しろ」
銀時「アレって? 何? 香水? だって銀さん オシャレさんだからさぁ」
土方「ちげーよ!! ホ…☆テルで お前が 付け過ぎるアレだよ…」
銀時「つのだ☆ひろ みたいな言い方されても わかんないんだけど?
    なに ガンダーラ☆ブホテルのことか?」
土方「それヤメロ なんか腹立つわ 山崎のモヒカン女装と
    無駄に完成度高い胸 思い出して ものっそい腹立つわァァ!!
    …あ ヤベ ラピュタ見えて来た…」
銀時「ちょ しっかりして!! で? そこで何を付け過ぎるって?
    梅干? たくあん? いっとくけど 銀さん 漬けるのはプロ並だからね」
土方「誰が漬物の話をしてんだよ アレに決まってンだろが
    ラブホで付けるっていったら …アレだろーが!」

銀時「ああ コンドー夢? あらイヤン♪
   土方クンたら 付けるのヤメテ欲しいの? 生でか?ナマが良いってか?!
   オッケェ〜イ!喜んでェ 我が命に変えてもォ〜〜♪」

土方「ちっちッげーわァァァ!! 付けなかったらコロスからな!!
   そうじゃなくて アレだよ …き キス…マークだよ」
銀時「あー ソレね」
土方「いや なんでそんなテンション低いんだよ ソレだよ
    なんか云いにくそうにしてたの バカみたいじゃねぇかよ
    逆に恥かしいわ とにかくな お前は付け過ぎなんだよ!
    いいか 俺は 俺はな…
    なんだ その 俺は お前の…所有物じゃねぇんだよ」

銀時「べっつに 俺のものだって印で つけてるわけじゃありませんー
    銀さん 犬猫じゃないからね マーキングとか 思われるの
    不本意だからね 全然そんなつもりじゃないからね アレ」
土方「…そうかよ じゃあ 今後はあんなにつけんな」
銀時「どれくらいならいいの」

土方「え ど どれくらいって …しらねぇよ 普通は ちょっととかだろ…」
銀時「ちょっとって どれくらい? 人によって数の多さなんか
    違うだろ いくつまでかちゃんと云ってくれないと分かりませんんんー
    何時何分何秒何個〜?」
土方「小学生か! いッ 一個か 二個だろ…! 多くても三個までだ!」
銀時「ふ〜ん 三個までならいいんだ? どのへん? どの辺ならいいの?」
土方「どッ どこでもいいだろ! うるせぇよ!
    俺が云いたいのは 付け過ぎんなってことだよ! 多いんだよ!」

銀時「ヘイヘイ わかりましたァ もう付け過ぎませんー
    三個までにしときますゥ〜 それでいい? もう文句ない?」
土方「ああ…ねぇよ とりあえずな」

銀時「なァ 定食屋行って 映画観て サウナは? もう行った?」
土方「行った」
銀時「なんだよォ 全部ひとりで行かなくてもさァ 冷たいよな土方クン
    金は摩っちまうし バイトはダメだし 散々だよコレ
    なぁ?今夜は? 今夜こそいっとかねぇ? 誕生日だぜ?
    銀さん今日 金ないけどさ? そんなんある方が出せばいいんだろ?
    な お祝いしよ? 今から行こうぜ ガンダーラ☆ブホテル
    本当はさ 今日プレゼント持ってさァ
    屯所に忍び込む予定だったんだよ 銀さん」

土方「フン どうだかな… チャイナが 寂しがってたぜ
    いいから今日は 早く帰ってやれ」
銀時「へ? 神楽? 会ったのか? どこで?」

土方「今日はなァ てめぇの噂話ばっかり聞いて ろくな一日じゃなかったぜ
    お前がいない日くらい こっちはゆっくり過ごしたかったのによ」
銀時「えー何ソレ? 銀さん人気者かぁ? まいったなァ…
    お前はホンット ツレねぇけどなァ ま その方がらしいけどな」

土方「俺らしくないってのは どういう感じだ?」
銀時「へ?」

土方「実は お前の行きそうなとこを 探してたってのは
   ―――俺らしくねぇか?」

銀時「…らしくねぇ 嘘だろ? ありえねぇだろ それとも…マジでか?ホントに?」
土方「んなわけねぇだろ ウソだよ 嘘に決まってんだろ
    バカかてめぇ なんで俺が お前を探さなきゃなんねぇんだよ ありえねぇよ
    じゃあな バイト料が入ったら チャイナになんか買ってやれよ
    俺は いいから …なんにもいらねぇから」

銀時「プレゼント 何にもいらねぇの?」
土方「ああ いらねぇ いや ひとつだけなら …あるな」
銀時「なに? 云って見ろよ 叶えてやるよ」

土方「お前が 最後に お約束な一言を くれるじゃねぇのか?」
銀時「かー! お前の高飛車 ほーんと ハンパねぇよな?
    なんだよ 夜這いに行ってムード満点で 云おうと思ってたのさァ
    俺の計画まったく台無しだよォ? ここで別れんのに 言わせんのかよ?」

土方「いいじゃねぇか 別れるときにこそ いいセリフだろ」
銀時「あっそ じゃあ『サイナラ オヤスミ!』」

土方「それかよ(笑)」

銀時「うっせ!『ハッピー・バースディ!』…でいいんだろ!
   もってけドロボー!! コンチクショウ!!」

土方「は どうせ云うなら 昨日云っときゃいいんだ 面倒くせぇヤツだな」

銀時「うるせぇよ 昨日じゃダメなんだよ 今日でねぇと イミねぇんだよ
    銀さん こう見えて すごく几帳面なんですゥ〜だ
    プレゼントだって 本当なら 用意するはずだったんですゥ〜」



何も いらねぇよ
お前から 形のある物なんて
何も欲しくない

云った後から 消えて無くなるような
そんな不確かな 声や 言葉くらいが
俺とお前には 似合ってる
声は 残らない

残らないものは
やがて 忘れて 消えて 無くなる

その音は 空気のように
録音する他には 証拠なんか 残らない

お前が 俺の体に 残す跡だって
いつかは 消える

昨夜の熱の 鬱血が すっかり消えて
痕跡が 跡形もなく 体から 無くなる
じきに消えるものを そんなに残す必要はない
ひとつも 沢山も 所詮 消えてしまうのは一緒だ


そうだ

残らないからこそ いい
残るものは 面倒だから
俺には 必要がない




銀時「なー 土方ァ〜」

土方「ああ? なんだ? まだ居たのか さっさと帰っ」

銀時「誕生日 おめっとさん 十四郎 …愛してんぜ」

土方「…ッバ バババカ野郎!!やめろッ…ズッカしいんだよ てめぇ!!」

銀時「なーんちゃってな☆ 本気ですケド!
   坂田銀時 本気でぇす!
   じゃあなァ 今日は 一緒に居れなくて ごめんな
   探してくれて ありがとな 今日中に会えて 良かったよ」

土方「…っせーよ 何が本気だ バカ 探してなんか ねぇっつうんだよッ」




声は 消えて 残らない はずなのに
 
何故 こんなにも お前の発する声
言葉 だけは
胸を焦がすように 残る?

その ひと言だけのために
朝から ずっと探していたなんて

そんなの ありえねぇ
ガラじゃねぇ

誕生日は 休日じゃない方がいい

余計な期待を しなくていいから
日々に埋もれて 特別な日であることなんて
忘れていた方がいい

いつの間にか終ってて
会えなかったと 考えることもなく
気がつかないうちに 明日の日付になってれば いい

こんなにも 恋しくて 会いたいのにと
ジリジリ焦がれるような心に 気づかなくて 済むように

お前のことなど なにひとつ 残したくはないのに
勝手に消えない何かを 俺の中に 残して行く

鬱血の跡なんかよりも
はっきりと 鮮烈に くっきりとした

俺は たぶん―――




(イヤ… ありえねぇよ イヤイヤイヤ それは ナイナイ 無いって)




登場人物:土方/山崎/近藤/沖田
場所:真選組 屯所

山崎「お帰りなさい 副長 足は大丈夫でした?」

土方「ああ 別にどうってことねぇよ」

山崎「そうですか 良かった 今日はゆっくりできましたか? どんな一日でした?」

土方「どんなって… サウナ行って メシ食って 映画…(は 観れなかったが)
   …まぁ 悪くはねぇ日だったかな …なんでだ?」
山崎「いえ なんかちょっと 機嫌が良さそうだったから イイコトあったのかなって」

土方「べべべべつに 何もねぇよ」
山崎「でも 今からが 実は本番ですよ 副長♪
   屯所のみんなで お誕生日会をしようって 用意してたんですよねっ」
土方「ハァ? お誕生日会って ヤメロよ ガキじゃあるまいし」
山崎「いいじゃないですか たまには みんな待ってたんですよ 副長が帰ってくるの!
   さぁさぁ! 早くゥ! 副長がいないと 始まらないですからァ♪」

土方「はぁ〜 勘弁してくれ…
   近藤さんだろ どうせ そんなこと言い出したのは」

近藤「トシィィィー!! お誕生日ィ☆おめでとううううー!!ぎゅうっとさせてぇ〜!!」
原田「副長ー! おめでとうございますッ 俺は副長命ッスッ!」
沖田「
土方ァァーー!!アン☆ハッピーバースデー!!
   誕生日に死んでくだせぇぇぇぇ!!


土方「うぜェェェー! 気持ちワリィー! しつけぇぇぇぇー!!!」




我らが愛しの副長さま…(お祝い遅れてソーリー)

♪ HAPPY BIRTHDAY 十四郎 ♪


☆END☆
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