☆銀/魂パロディ

初詣のお神酒ほど旨いもんはない(2)

登場人物:銀時/土方
場所:真選組屯所



土方「…雪か やっぱ降ってきやがったな…
    今頃 なにやってんだろな ……あいつは」

銀時「俺?」

土方「
わァーーーーーー!!!びっくりした!!ててててめェ!!
    万事屋!! どどどどどこから入って来やがったッ!?」

銀時「どこって玄関? 開いてたよ」
土方「なんだと 誰もいねぇのか! 無用心だなッ」
銀時「まぁジミーくんとか普通にいたけど スルーで通してくれたぜ?」

土方「…山崎のヤロー 正月三が日で切腹だ」
銀時「なに新年から物騒なセリフ 吐き捨ててんだよ」
土方「何しにきた」

銀時「んまッ ご挨拶だな 風邪引いたってェ? 鬼副長の霍乱てヤツかよ
   何やってんだ虚弱体質ですかコノヤロー
   銀さんが見舞いに来てやったんだから ありがたく思え」
土方「ありがたくなんかネェよ …誰に聞いた」
銀時「初詣でゴリラとS王子に会ったんだよ」
土方「はァ 近藤さんか またあの人は余計なことを…」

銀時「だから年末 うち来なかったのか? てっきり来ると思って
   神楽を新八のとこに追い出してたのになァ 寂しい年末年始だよ
   二人で初日の出が見れなくて 銀さん残念だよォ」
土方「…別に 約束はしてねぇだろ」
銀時「してないね 約束なんかしたって一緒だろ」
土方「大晦日に捕物があったんだ」

銀時「知ってる えらい騒いでたもんな 事情聴取に夜明けまでかかったんだろ
    そいで寝る間もなく お正月ってわけだ」
土方「…だよ だから行きたくても 行けなかったんだ」
銀時「ちょ マジでか 今 何て言った? 聞き間違い?
    行きたくてもって言った? 行きたいって確かに言ったよな! 
    行きたかったって 銀さんに逢いたかったって そう言う意味で言ったよね?!」
土方「…だったら どうだってんだ」

銀時「いや…素直に 嬉しいです 生きてて良かった」
土方「なんだそりゃ」

銀時「で 体弱ってて 風邪引いたんだ?」
土方「風邪じゃな… いやそうだ だから あんま近寄るな うつるぞ」
銀時「ふぅん お前はマジシャンですか」
土方「は?」

銀時「斬られた傷がうつるなんて 聞いたことねェからな」

土方「! …斬られたんじゃねェ 掠ったんだ」
銀時「掠り傷なら初詣くらい来れただろ わかってんだよ ジミー庇ってやったんだって?
    ションボリしてたぞォ」
土方「チッ…なんでうちの連中は こうもあっさり外部者に 情報漏らしちまううんだかな」
銀時「それだけ銀さん信用されてんだよォ」
土方「アホぬかせ お前なんか要注意不審者なんだよ もう帰れよ 手錠かけるぞ」
銀時「それ何のプレイ? 新年早々過激発言だな大串くんはァ まァ 待てって
   まだ俺の二つ目の目的が 達成なされてないんだよ」
土方「二つ目? 何だ」
銀時「一つ目は 土方に会いにきた 二つ目は ほれ これだ」

土方「酒?」
銀時「ただの酒じゃないぜ お神酒だ なかなか良い酒だ」
土方「神酒か そうか 初詣帰りだったな」
銀時「御土産に売ってるんだよ 神社の儲け主義もどんだけーだな」
土方「罰が当たるぞ 酒に酔うことで非日常の境地に至り
    神との交流を深めるという意味もある」
銀時「ほほう 信心深いとは知らなかった 俺としては
   お前との交流を たっぷり深めに来たんだけどな」
土方「…おまえが言うと 何だか卑猥な意味に聞こえる やめろ」
銀時「エロい意味にとるのは お前がそう思ってるからなんじゃね?」
土方「思ってねぇって ん 猪口がいるな…」
銀時「はいよ 万事屋に何でもお任せあれ♪」
土方「フン 用意のいいやつだ」

銀時「じゃ 改めて
   明けましておめでとう 今年もよろしく 十四郎クン」
土方「名前言うなボケ …おう おめでとうさん よ よろしく…」
銀時「は? 小さくて聞こえないんですけど? 明けましておめでとうくらい言えないの?
   挨拶もできないなんてパパとママはどんな教育されたんですか?
   一体なに照れてんの? そんなとこで照れるなんて どんだけ可愛いんですかお前は」
土方「うるせーよ! んなもんは形式だろ 形式!照れてなんかねぇよ!」

銀時「形式じゃねぇよ 儀式だよ 新年を迎える新たなキモチの儀式だよ
   新年の銀さんをキモチ良〜く受け迎える 儀式だよォ」
土方「うるせー お前言うとなんか不謹慎だわ んなこた分かってるっつうんだよ」
銀時「何 不謹慎て …どうだ? いい酒だろ」
土方「…ああ」

銀時「おまえと一緒に呑みたくって 買ってきたんだ」
土方「……おう」

銀時「こうやって寒い日に 熱燗じゃない冷酒を呑みながら
   縁側で雪を眺めるのも なんかオツなもんだろ?」
土方「…ああ そうだな 滲み渡るな ちょ 勝手に肩抱くな ッゥ…」
銀時「あ わりィ 傷口が痛んだか?」

土方「別に 空きっ腹だったから 胃に滲みただけだ」
銀時「空きっ腹だと余計に酔うぞ 大串クン酒 弱いから」
土方「…酒に弱いことを分かってて 持ってきたんだろ」
銀時「あらら どうしたの 認めちゃったよ いつもはそんなことねェって
   突っかかるのによ 本当に病気なんじゃね? それとも次は
   酔わせてどうするの?とか言っちゃうつもり?」

土方「酔わせてどうすんだよ…」

銀時「ひゃー言っちゃったよォ この人! 新年早々ツンデレ開始ですかァァァ!
   もう酔っちゃったのォ? いくらなんでも早くね? 酔いに任せすぎじゃね?
   ちょ マジでなんか寄っかかってきてるんですけど これもう戴いても良いってこと?
   下向いちゃってどうしたの ちょっと顔見せてよ」

土方「…晦日に捕まえた浪士は 昔 攘夷戦争に参加していたと吐いた」
銀時「ああそう 何?だからなんなの 新たなテレ隠し?」

土方「―――白夜叉を 探してるんだと 恨みがましく吐き捨てて 舌を咬んで…死んだ」
銀時「じゃあ事情聴取できなかったんだ それならうちに来れば良かったのに」
土方「行こうと思ったさ そいつとお前の 関係を聴きにな」
銀時「やだなァ 大串クンが心配するよな淫らな関係じゃねぇと思うよ
   俺 大串クン一途だし だいたい攘夷志士になんか 知り合い いないし
   知ってるのは アホなズラ野郎と宇宙生物くらいだし」

土方「そうか? だったら 何故 現場に来ていた」
銀時「行ってねェよ? 大晦日は紅白歌合戦 見てましたァ」
土方「嘘をつくな あんだけ騒いでて お前が見にこない筈はない
   第一 お前をこの俺が見逃すかよ」
銀時「へぇ 嬉しいこというじゃネェか
   銀さんを 愛の力で野次馬の中から探せちゃったんだ 大串くんたら」

土方「愛の力じゃねぇよ お前は目立つんだよ 白髪の天パ野郎が」
銀時「え マジでか? やっぱ流行のブリーチカラーに染めようかなァ」
土方「ふざけんな お前はそいつと目があった筈だ そのあとだ そいつが
   舌を噛み切ったのは なんで恨みがましく探してると言いながら
   お前を見つけたのに 自害しなきゃならねぇ 解せないだろうが」
銀時「…じゃあ 何でその場で 俺を捕まえなかった」
土方「それは… 自害に気をとられて 気がついたらお前はいなかった」

銀時「これは そいつに斬られのたか」
土方「ああ 速かった 一瞬の隙を 付かれた 不覚だった」
銀時「仕方ねぇかもな …抜く速さだけは一番だった のかもな」
土方「! やっぱり知ってるのか 万事…」
銀時「こっちを向くな! 下向いてろよ そんなヤツは知らねェよ 
   けど 白夜叉が 死んだことに 気がついたんじゃねェの そいつはよ
   目ェ見りゃわかんだよ 生きてる目か 死んだ目か なんてな」

土方「白夜叉は お前なのか」
銀時「白装束の白髪ってか? 冗談キツイぜェ 間違えたんだろ 気の毒にな
   白い天然パーマのマダオと その白夜叉って ヤツをよ
   けど何も死ぬこたねぇのにな 絶望しちまったんだろ 失礼なヤツだよな
   銀さん死んだ目してて 悪いことしちまったなァ 俺の目ってそんなに殺人的?
   女どもがバッタバッタ倒れるくらい魅力ビーム出てる系なら良かったんだけどな」

土方「…目じゃ ねェのかもしれねェ」
銀時「あん?」
土方「いる筈の男が 居なかったんだ 探してた男は もういないと気がついた」
銀時「…どうなんだかな」
土方「フン そうか わかった 人違いの勘違い自害だな 迷惑なこった」
銀時「それで… いいのかよ?」
土方「白夜叉なんぞ 怪しい野郎は 文献にねェんだよ 居たっていう証拠も何もねェ
   ただの風説だ 俺が制服を着てるなら もう少し聴取してやってもいいが
   生憎正月休暇中だからな 仕事は休みだ
   だからちょっと…酔いのついでに 戯れ言を 言ってみただけだ 気にすんな」

銀時「そうかい 酔ったときには戯言より睦言で頼むぜ 俺だけにな」
土方「お前は いちいちウルセェよ …他所で睦言なんか 言うわけねェだろ ボケ」

銀時「うッ! 今の股間直撃! ね キスしていい?」

土方「―――銀…」




 あの日―――
あの大晦日に お前を 訪ねて行けば
俺は 問い詰めなければ ならなかった

 真選組として 警察官として

だけど だから

 俺は 行かなかった 行けなかった
こんなものはただの職務放棄だ
 士道不覚悟 切腹ものだ
 
 だが どうしても 行けなかった

 裏腹 無性に会いたかったのに 会えないと 思った

 この俺が 知ることが 恐くなったなどと 馬鹿げた話だが

 だけど そういうもんなんだろ
この厄介な 感情ってやつは

 けど 次はそうはいかねェだろう

 自分の狼狽振りには 俺自身が 一番 驚き許しがたいことだから
つまりは 俺らしくねぇってこった
 だから 次はねェよ

次は 躊躇も 迷いもしねぇ
銀時 そのときは


―――覚悟しておけや







銀時「なに考えてんだ? 傷に触れないよう頑張ってんだから 集中しろよ」

土方「…バッカ!どっちにしても 動きゃいてぇんだよ!…ッゥ…」

銀時「大串くんは きっと」
土方「…あん?」

銀時「きっと 俺をまた 斬るんだろうな …そんな眼をしてる」

土方「―――は 血が 血を呼ぶのかもしれネェな」
銀時「だけど 白夜叉は もう いない そいつが 目の前で 多分 殺したんだ
    目的を達成して だから 死んだんだろうな」

土方「俺に 斬らせるなよ 万事屋  何度 幾度 年が明けても…」
銀時「なにソレ 殺し文句?
    銀さん新年から 股間と一緒に張りきっちゃうけど」

土方「Σ( ̄□ ̄")!ちっ ちっげーわ!
   お前なんぞなァ もう幽霊にでも殺されろォォ!!」 

銀時「うん 亡霊に持って行かれないよう 抱き締めててネ 土方…」




新年 明けまして おめでとう

去年 つかまえてくれて ありがとな
神様なんぞ 信じちゃいねェが
 今年も お前と 神酒徳利のように 一対で居れますように…

今年も 来年も 幾年も よろしくお願いします



☆完☆


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