電脳タブロイド
チェリーブロッサムの復讐

03
登場人物:エンゼル/カミカゼ

場所:バーチャルーム:M4444真紅の城専用・桜パーティ会場



エンゼル「はぁ……。
     ピンクの髪の女に気をつけろって言われてもなぁ……」

カミカゼ「どうした、ヘッド? 難しい顏して。
     せっかくのお祭りなんだから、楽しみなよ?」
エンゼル「よう、カミカゼ。お前は、楽しんでるか?」
カミカゼ「うん適当にね。ヘッドはピンクの髪の女の子を気にしてるみたいだけど、
     気に入ったコでもいたのかい? どのコ? ピンクの髪の子は、今回山ほどいるけどね。
     なんたって今日のイベントは、桜の花のパーティだからね。ピンクピンクピンクだ」
エンゼル「……だよな。クソ、もうちょっと詳細な情報を貰っとくんだったな」
カミカゼ「? 何の話だい?
     まさかヘッドまで、今流行のピンク・ウイルスゲームに夢中なんじゃないだろな」

エンゼル「なんだって?」




エンゼル「そうか……。もうすっかりウイルスの噂は、メジャーに広まってるわけだ」
カミカゼ「うん。早くから掲示板で持ちきりだよ。
     でも、直接ヘッドがMM同好会の幹部に警告されてたとは、知らなかったよ。
     まさか噂のウイルスが、あんたを狙ってるものだったとはね。
     俺に相談してくれても良かったのに、ヘッド。水臭いな」
エンゼル「そりゃもちろん、お前に相談しようと思ってたんだが、巻き込みたくねぇし、
     真偽も定かじゃねぇしな。だいたい俺なんかを狙って何の得があるっていうんだ?」
カミカゼ「それならキラ信者の逆恨みってとこかな。ヘッドがキラさんとつるんでるって噂あるからね。
     ヘッドが狙われるのは、それしかないと思うよ」

エンゼル「はぁ?! 嘘だろ、冗談じゃねぇぞ。
     キラとつるんでるじゃなくて、吊し上げられてるの間違いだろが」
カミカゼ「あっはっは。それは違いないよなぁ……。それでもキラさんの信者には面白くないのさ」
エンゼル「同情されても恨まれる理由なんかいっこもねぇよ。くそ……キラの野郎め」
カミカゼ「でもテッドが情報をくれたせいで、用心できて良かったじゃないか」
エンゼル「よくねぇよ。だいだい、奴は何者だ? MM会の幹部つったって、素性は明かしてねぇだろ。
     何もかもが不確かだし、本当にピンクの髪の女かどうかもわからねぇ。
     それに、ひょっとしたらだけど……その、女が声をかけてくるとして、それを無視したら、
     もしかしたら、せっかくのデートのチャンスを、逃がすかもしれねぇんだぜ? だろ?」
カミカゼ「呆れた。ヘッドはウイルスちゃんでもデートしたいのか?」

エンゼル「だって本当にウイルスとは限られねぇだろ。こんなにピンク頭がいるなら、
     一人ぐらい、本当に俺が好きかも……」
カミカゼ「あっはっはっは。そうかもね。ヘッドのそういう前向きなとこ、好きだよ」
エンゼル「笑うな。信じてねえだろ。どーせ、おれは失恋キング更新中だよ!」

カミカゼ「拗ねるなよ。大丈夫、ヘッドはカッコイイよ?
     ヘッドの良さが分からない女なんか、無視すればいいさ。ヘッドに似合わない」
エンゼル「おまえだけだよなー。そういってくれるのって」
カミカゼ「ピンクの髪の女はヘッドに声をかけてくるなんだろ? なら、待っていればいいじゃないか。
     で、話しかけてくるそのコを外して、あとのピンクを引っかければいいんだ。簡単」
エンゼル「接触する前にワクチン打たなくていいのかよ。会ったとこでもう感染してる可能性もあるだろ」
カミカゼ「解毒ワクチン? ああ。上位チームが嘘か誠かウイルスの独自情報を得て、
     いくつか出したアレだね。どのチームのが本当に解毒剤になるのか、皆、賭けてるよ」
エンゼル「もう、全てがゲームだな。ウイルスは放たれた、ウイルスまたはワクチンを探せってなもんだよな」
カミカゼ「そうだね。でも正体も分からないのに、ワクチンは余計に怪しいよな。色んな情報が錯そうしてる。
     良からぬチームが、この騒ぎを利用して、何かおかしな仕掛けをしてるかもしれないしね……」
エンゼル「騙し騙されて、ランチキ騒ぎだ。結果、ウイルス花見パーティは盛り上がってる。
     むしろ、それが狙いの目的かもしれねぇしな。全部、お祭り騒ぎのひっかけだな。
     最後にバカを見るのはどいつだろな。……俺じゃないことだけを祈るぜ」

カミカゼ「テッドは、最悪の花吹雪と言ったんだっけ?」
エンゼル「桜のような甘い誘惑と引き換えに、だ」
カミカゼ「ふーん。それもヒントなのかなぁ。ヘッドの話で真実味が出て、ちょっと面白くなってきたな。
     俺もウイルス探しに参入しようかな。結構、面白い噂だとは思ってたんだよね」
エンゼル「な、なんだよ、おまえまで!! 俺は身の破滅がかかってるんだ、いっこも面白くねぇぞ!」
カミカゼ「大丈夫、噂では、接触されてもドボンワードさえ云わなけりゃ感染しないって話だし、
     とにかく、声をかけてくる女は、無視だよ、無視、いいね、ヘッド!」
エンゼル「へ? あ、おい!! カミカゼ、どこ行くんだよ?! 俺をひとりにするなよ!!
     そんな噂、本当かどうか、わからんだろがーー!? 適当なこと言うなよ!
     それに本当に俺に気のある女だったら、どうするんだよォォォー?!」




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