2013☆年始☆妄想ショート・ストーリィ
電タブシリーズ

10年後のクリスマス・2

※ご注意※
この物語は仮想の将来話であり電タブ本編とは一切関係はありません
これは「10年後のクリスマス」の続編です


★★
登場人物:キラ/エンゼル
場所:年末のガーデンテラス




キ ラ 「悪かったな、エンゼル。呼び出したりして」

エンゼル「キラ! い、いや、こっちこそ、なんだ、その……この間は」
キ ラ 「この間のクリスマス、ブッチして帰ったの、怒ってる?」
エンゼル「え。……いや、こっちも悪かったかなって。数時間も待たせた上に驚かせたからな……」
キ ラ 「電光掲示板、あれはないよね」

エンゼル「……どうせ……センス悪くて悪かったな(ー_ー)」
キ ラ 「お前さ、もし俺に断られたらどうするわけ?」
エンゼル「―――どうもしねぇよ。断られたならそれを受け止めるだけだろ。
     それ以外ねぇだろ。無理強いはできねぇし、おれは自慢じゃないが振られ慣れてる」
キ ラ 「他の女とくっつくのか?」
エンゼル「はぁ? そんな相手、いねぇよ」
キ ラ 「できたら? そのうちにできたら? その女のこと好きになる?」
エンゼル「さぁ……。そのうちなら、そうかもな。
     おまえと付き合ってねぇなら、そのうち、誰かを好きもにもなるだろよ」

キ ラ 「イヤだ」

エンゼル「は?」
キ ラ 「他の女、好きになるのはイヤだって言ってんだよ。ダメだ。
     他のヤツなんか、好きになるな。俺に振られても誰も好きになるな。
     そんなの許さない。ダメだ。永遠にひとりでいろ」
エンゼル「はぁ?? なんつー、勝手なことを言ってんだ、おまえ……」
キ ラ 「そんなことになったら泣くからな。俺が悲しむとこ見たいのかよ? どーすんだよ?」
エンゼル「・・・・(ー_ー;)。 か〜〜〜っ!! 畜生ッ!! 分かった!!」
キ ラ 「なに?」
エンゼル「なんねーよ。おまえに振られても、おれはひとりで、誰も好きにならねぇ!」
キ ラ 「本当に?」

エンゼル「おれは嘘は言わん」
キ ラ 「ずっと恋人も作らないで、ひとりでいる?」
エンゼル「……いる」
キ ラ 「なんで? どうしてそこまでする? お前って、本当に人が好すぎるのな」
エンゼル「おれがお人好しだからじゃねぇぞ。これはおまえがそう言うからだ。
     でないと悲しむんだろ? 泣くんだろ? そんなこと、今は一番望んでねぇからな。
     少なくともおれは、おまえが嫌なことは、いま絶対したくないだけだ」



ああ。この男はなんてバカなんだろう。

優しさも度を越すと嫌味になる。うざい。
コイツは頭がオカシイんじゃないのか?
そうだ。そうなのだ。そうだったのだ。

なんてことだ。そうだったのか。
そんなことも分からなかったなんて。



キ ラ 「わかった。結婚する」

エンゼル「―――え?」

キ ラ 「するって。お前と結婚するよ。エンゼルのプロポーズ、受けるよ」




なんでだかどうなんだか―――。
俺はこの頭のオカシイ男が、たぶん好きなのだ。

そうだったのだ。

アホ過ぎるのが珍しくて貴重できっと手放したくない。
だれにも渡したくないほどに、好きなのだ。

バカじゃねぇの?
そんなことさえ、分からなかったなんて。
そんなことさえ、自分を疑っていたなんて。

そんな単純なことだったなんて。

結局、俺は―――。
言われたことが嬉しいからこそ、言葉の真意が怖かっただけなのだ。



photo/真琴 さま