セリフ劇場

「深紅の城」

主な登場人物=エンゼル キラ 番犬





「キラだ」

「本物?キラがわざわざカフェに来るなんて
 信じられない しかも今日は…」

「後ろのあれがケルベロスか?こえぇツラ」

「でもどっちも近くでみると
 結構子供なんじゃん キラはキレイな子ねぇ」
ハッカーチームの溜まり場
オフライン・カフェ「深紅の城(クリムゾン・キャッスル)」

キラがケルベロス(番犬)と共に入ってくる
皆ざわめき ひそひそ声


「キラさん! どうしたんです?
 何か お探しものでも?」

「おまえバカいうなよ
 天才テキーラが検索できないものなんて
 無いっつーの!」
どこかのボックス席から笑い声と共に
冷やかしの掛け声や笑い声


キ  ラ 「…ねぇ エンゼル知らない?」


エンゼルー!!ご指名だぜ!
あんたの愛しのキラさまだ!



キラ 誰に聞くでもなく薄笑いで呟く






店内 大爆笑


コーラル「ハイ キラ 先週のネカクラ※1
      面白かったわ 本当にアレが
      エンゼル・フェイスの口説き文句?
      本当に誠実なのね彼 惚れそう
      最近他チームでも人気急上昇中よ」


キ  ラ 「ハイ コーラル 元気?繁盛してるね
      あんまりエンゼル苛めないであげてよ?
      憧れのコーラルにそんなこと云われちゃ
      彼メロメロでまた本気にしちゃうからさ」

コーラル「アナタにメロメロなんじゃないの彼は」

キ  ラ 「だといいんだけど 案外オレって
      怨まれてるんだよね」
店内奥から 全ハッカーチーム憧れの美女で
カフェのオーナー・コーラルが出てくる


(※1)ネカマクラブ=キラのネカマの犠牲者さらし者サイト




キラ  コーラルにキスして微笑む





エンゼル「おい クソガキ 案外だと?
      怨まれてるのが解ってたら なんでこんな
      ところにまで 俺を探しに来てるんだ 
      この卑怯者野郎 殺されたいのか」

キ  ラ 「ああ居た やっぱアナログなキミは
      オフ・カフェ探した方がてっとり早いな」

エンゼル「今日はオフライン日なんだよ
      どうせ今日集会だって盗聴でもして
      知ってたんだろうが
      白々しいこといってんじゃねーよ
      年中オンラインなお前がこんなところに
      くんな お前は歩くダーツの的なんだぜ
      いくら番犬がついてるからってな
      調子にのんな タコ」

キ  ラ 「心配してくれてんの? 
      あたし 脱線日の方が多いのよ最近
      やっぱアナタって優しーのねぇん♪」

エンゼル「てめぇ オカマ言葉はヤメロ
      オレはもう騙されねーからな!」

キ  ラ 「オカマ言葉の男に騙されてんじゃ
      あんた完全な本物のホモだよ」
マフィア・ボーイズ チームヘッド エンゼル・フェイス
奥のボックスから出てくる

エンゼル「なぁんだぁとぉ〜!!


キ  ラ 「怒るなよ 番犬に噛まれるぜ
      ところで わざわざお前からかいに
      来るほどヒマじゃないんだけどオレ」



番犬 キラの前に立つ


エンゼル 無念そうに引く

エンゼル「だったら何しに来やがった
      ここはマフィアボーイズの
      溜まり場だぞ さっさと帰れ」

キ  ラ 「お前のチームのアレさ
      新人くん…なんていったけ?
      アレってダーク・ファイバー※2
      集会にも出てたぜ?
      テンプル・ケイオス※3に居たもん」

エンゼル「・・・なんだと?
      てめぇ…俺のチームの奴等の
      悪口だけは許さねぇと云ったはずだぜ」

キ  ラ 「じゃあ確かめてみなよ おバカさん」

エンゼル「うるせぇ!んなことあるか
      てめぇの云うことなんか信用するか
      一体何を企んでいやがる 敵地で
      いい度胸だな いい加減にしろよ
      いくら地獄の番犬でもな こっちは多数だ
      タダじゃすまねぇぜ」

キ  ラ 「信用してるなら直接聞けよ」

エンゼル「信用してるから聞く必要はねぇよ」

キ  ラ 「でも新人じゃん アンタと付き合い
      短いんじゃん? 俺の方がアンタとの
      つきあいずっと長いよ?
      カミカゼくんだって聞けっていうぜ
      そうだろう?副ヘッド?」
(※2) ハッカーチーム名のひとつ
(※3) オフライン・カフェのひとつ


カミカゼ「俺はヘッドの信じてるものを信じる」

エンゼル「おい スプリッツアーを
      呼んで来いアカシア!」
マフィア・ボーイズ 副ヘッド カミカゼ
エンゼルの後ろから出てくる

アカシア「いないわヘッド」
マフィア・ボーイズ メンバー アカシア 奥から出てくる

エンゼル「何?今日は参加してただろうが」

アカシア「ええ でもキラさんの姿を見たとたん
      顔面蒼白で すっ飛んで裏口から
      出てったのよ どうしよう?」

エンゼル「なんだと…
      キラ てめぇ何かしたのかヤツに?」

キ  ラ 「酷いやエンゼル あくまで俺が悪いの?
      最近オイラさ ネットストーキング
      されててさ? どんな度胸のある奴
      かと楽しみにしてたら てんでダメ
      逆に追跡したら もうそれは簡単に
      行くトコまるわかりで もうがっかり
      そいつ昨日は ダークファイバーの
      ネットROOMにも出てたんだよね
      でもアンタんとこに確か今年入った
      ガキだったなと思ってね」

エンゼル「何で俺のとこの新人メンバーを
      知ってるんだってことは不問にしておく…
      お前 あそこの集会も覗いてんのか」

キ  ラ 「俺に行けないラインは無いのよエンゼル」

エンゼル「悪趣味な野郎だぜ
      今に訴えてやるからな」

キ  ラ 「ナニソレ おもしろぉい」
キラ 大笑いする

エンゼル「笑うな!ともかく ここからは
      チームの問題だ スプリッツアーにも
      何か事情があんだろう
      てめぇは信用してねぇけどな 
      わざわざ ここまで来た労力に
      一応 騙されてやる」


キ  ラ 「うん」

エンゼル「な な何だよ 礼金でもいるのかよ」

キ  ラ 「うん?そうねぇ お礼はエンゼルの
      チュー♪でいいよぅ?」



キラ にっこり微笑む
エンゼル ちょっとドギマギする


エンゼル「・・・・!殺す!ぜってーコロス!

カミカゼ 「わぁ!待ったヘッド!落ち着いて!」

エンゼル 怒り怒髪天

カミカゼ&チームメンバー
皆してエンゼルを制止にかかる

キ  ラ 「じゃあね ヘッド・エンゼル・フェイス
      行くぜ 番犬」

エンゼル「待てよ おい番犬…」
エンゼル 番犬を後ろから引っぱり小声で

エンゼル「何でヤツは わざわざ俺にそんなこと
      教えにきたんだよ お前俺の友達なら
      ヤツの魂胆を内緒で教えろッ」

番 犬 「さあな お前が好きなんだろ
     なんたって 熱烈なラブレターを
     いつも 貰うようだからな」

エンゼル「う うるせぇよ!!いつかネカクラ
      ぶっ潰してやるからな!覚えてろ!」
エンゼル 赤面&怒りモード

キラと番犬 カフェから出て行く


キ  ラ 「ケルベロスさ エンゼルが好きなの」

番 犬 「嫌いじゃないな 面白い男だ」

キ  ラ 「オレも最初は 面白かったんだよね
      でもオレにあんなにコケにされてても
      仲間が減らないどころか 人気者で
      最近怒るだけで全然 傷ついたそぶりも
      見せないし 全然面白くないよ
      相変わらずあのチームのヘッドで
      健在だ マフィア・ボーイズの連中には
      がっかりだ」
      
番 犬  「エンゼルを傷つけたいのか」

キ  ラ 「当たり前じゃん 何の為の嫌がらせよ」

番 犬 「だったら 何故ヤツにスパイのことを
      教えてやった 黙ってた方が
      よほど面白いことに なっただろう」

キ  ラ 「新人くんがダークファイバーの
      ネットROOMでエンゼルのことを
      バカにしてたからだよ クズの分際で
      生意気だ オレ以外がエンゼルを
      コケにするのは 許せないだろ
      新人くんをオレが処分しても良かったけど
      またエンゼル怒るだけじゃん
      だから親切に教えてやって
      新しい不信感植え付けるのも
      また新鮮かなと思ってさ
      結局怒ってたけどね 」
      
番 犬 「変った理論だな お前の言うことは
      どこも混線してる」

キ  ラ 「エンゼルはチームの連中を信頼してる
      オレはそんなヤツは信じられないんだよ
      信じようと思うと 発狂しそうになるね

      コーラルなんてな あのブス女
      ちょっと顔がマシなだけで男から
      チヤホヤされて いい気になってやがる
      醜悪なババアだ あの淫売女め
      あちこちのチームの頭と寝てやがるんだ
      不潔な女だ もっともエンゼルは
      相手にされてねぇけどな
      
      カミカゼなんかエンゼルの後がまを狙って
      やがるんだぜ 失脚を狙って罠を
      はってんのさ 人の良さそうな顔して
      食わせ物だ いずれ全チームを
      まとめて頂上に立つ日を夢想してるんだ
      気の毒だぜ エンゼルも 
      案外スパイもカミカゼの罠だったかもな」

番 犬 「それは 本当に覗いた事実なのか
      お前は信用してるものはないのか」

キ  ラ 「そんなものないよ 
      信じるなんて言葉自体
      抹殺したいね お前信じてる
      ヤツっているの?バカラ?ラス?」

番 犬 「俺の信用するものは人じゃない
      真実だ」

キ  ラ 「真実なんてないぜ番犬 お前が
      認識してる人物像や事柄は
      何が基本だ お前自身を信用できるのか」

番 犬 「・・・・・」

キ  ラ 「そうさ お前は全然もの知らずなガキだ
      もっとお勉強しろよ中学生
      ちょっとくらい ムカついた?
      つまんないから
      早く感情心理を覚えなよ」

番 犬 「お前は学校の感情心理の授業は
      テキストを暗記すればいいと言ったな
      だが暗記は 無駄のようだ」

キ  ラ 「無駄だって?へぇ そう思うの最近?
      テキスト通りにいかない?
      今頃気がついたのか
      書いてあることは体感していかないと
      勉強にならねぇんだよ バーカ
      いつまでも 書かれてること
      丸暗記してんじゃねぇよ 何習ってんのさ
      あんた 案外 頭悪いんじゃないの?」

番 犬 「・・・・・・」

キ  ラ 「いつか殺してやるって思ってるだろ
      いいさ 是非そうしてくれ 楽しみだよ
      本物の人殺し屋だもんな お前
      あんたなら きっと失敗しないしな
      バカラだってじき俺を生かしておいた
      ことを後悔するさ 命令が下るから
      それまで 待ってな いつか
      出番が来たら頼むぜ 俺の殺し屋さん」

キラ 表情は笑いながら 目を伏せて うつむく
そのあと 黙り込み表情はない
あれだけ饒舌に喋っていたのが
嘘のように 一切喋らない
黙って歩き出す

番犬 同じく黙ったまま キラを家まで送り届け道を戻る

ふと 廃墟に赤錆びた雑草を 見つける


 番犬 ただ 暫く その場に佇む 
 

END





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