桜 祭 り 

場所:国立植物園 桜公園特別一区

七   

登場人物:/イーブ(所属:幼児娼館「イーブの館」
/ウオッカ


イーブ 「花見ばんざーい♪ そして ウオッカのパパにカンパーイ!!
     おまえら花見なんて初めてだろ? どうだ ベリーニ 桜の木は綺麗だろが?」

ベリーニ「うん 凄いねイーブ!! ピンクの軍団だよ!すごい すごいよ!」
イーブ 「アホみたいにお口あけて見上げてるんじゃありませんよ はしたない
     興奮して熱出すなよ 夜はお仕事あるからな お口はそこで開けなさいネ
     それから 常連のお客さんを見かけても 声かけちゃ駄目だからな
     外ではいつも知らんふりしろ そしたら今夜来て 可愛がってくれるからな」
ベリーニ「うん! 大丈夫 見ぬ振りするの社交辞令だよね!」
イーブ 「なんか微妙に使い方間違ってるけど…ま いっか
     そうだよ 社会では大事なことさ まず居場所のルールを覚えることだ」

ウオッカ「おい ガキどもにはあんまり飲ますよな イーブ
     様子見にきて良かったぜ 今夜は客引きは無しにしとけ
     滅多にない花見だ 今日一日は楽しませてやれ」

イーブ 「わぁウオッカじゃん♪ 子供のパパみたいなこと言っちゃってぇ
     おめぇはオレの旦那ですかっての 余計なお世話だよ 勝手に座るなよ」
ウオッカ「おまえは淫乱破滅型のお母さんだからな 放っておくと何するか分からねぇ」
ベリーニ「ウオッカ!来てたの? ねぇまた遊びに来てよ」
ウオッカ「ああ またな 今度行くよ」
イーブ 「ベリーニ あっちで皆と花見してな 俺はウオッカと話があるんだよ
      ウオッカ 酷い言いがかりだな イーブ様は永遠の処女なんだぜ
      だいたいギャンブル破滅型の旦那に言われなくねーての」
ウオッカ「そりゃそうだな これ今月分だ」
イーブ 「ああ…どーも まるで養育費を払いに来た元夫みたいだねぇ」
ウオッカ「似た様なもんだろ」
イーブ 「旦那も自堕落だな ギャンブルの金を 幼児娼館に注ぎ込むなんてな
     お前の経歴に傷が付くような ろくでもない噂が出てきてるぜ
     ほっといていいのか 伝説の男が泣くぜ」
ウオッカ「噂か 本当のことなんだろうさ ろくでもない経歴も噂もどうだっていい」
イーブ 「脱エリートだもんな旦那は お前の腕前ならどこにでも勤められるのに
     親ぁ泣かせるなよウオッカ バカラパパに心配かけて 悪い息子だ
     バカラはメチャメチャだけど良い人だな 昔から変らない
     本当 ありがたいよ 俺らみたいなもんまで 一等地に招待してくれてさぁ」
ウオッカ「あのクソオヤジは良くも悪くも いつもオヤジらしいよ」

イーブ 「素直じゃないねぇ」
ウオッカ「お前こそ エリートリタイヤ組だろが あんな店やって
     子供に商売させて 俺よりタチ悪いじゃねぇか
イーブ 「いいんだよ どの道 こんな世の中じゃ不幸な子供は虐待されて 
     レトロチックな臓器屋か エロオヤジの餌に娼館へ売られんだよ 
     俺の店に来た方が 臓器根こそぎ持ってかれるよりマシってもんさ」
ウオッカ「生きてりゃイイコトもある」
イーブ 「そうさ だから教えてやんだよ 自分が生きてる意味がないと
     思ってるガキどもにな 親が捨てた自分の価値ってもんと
     生きてく知恵を教え込んで こっから出してやんだよ」
ウオッカ「知識は身を守る 俺には教える資格がないからな お前に任せるぜ」
イーブ 「あんたはさ… 自分の価値ってのを 知ってた?」
ウオッカ「まぁな うぜぇほどオヤジに愛情注がれて育ったからな」
イーブ 「思い出すなぁ 小さい頃さ 俺ら幼馴染だからさぁ
     おまえのこと オカマの子って よく虐めたけど…
     あのときゃゴメンよダーリン? 深く反省するよ 今」
ウオッカ「ふざけたヤローだ 酔っ払ってんのかもう
     オヤジの腹から生まれたのは 俺の誇りだ 誰が何を言おうが関係ねぇ
     お前のガキくさい苛めなんて 鼻で笑ってたぜ」
イーブ 「俺はさ おまえを愛してたのよ ウオッカ…分かれよ」

ウオッカ「そうやってタラシ込むんだな うそつきイーブてな有名だ」
イーブ 「嘘つきは おまえに負けるね ギャンブルで稼いだ金が
     ガキの教育費に使われてるなんて あんたのパパでも知っちゃいない」
ウオッカ「俺は偽善者なんだよ ギャンブルの泡銭が身の丈にあってるんだよ
     それを言うなら お前だってどうだ?
     売れっ子娼館オーナーなぞやって バカ稼いだ金で何するつもりだ」
イーブ 「よくぞ聞いてくれた 俺はね 気の毒なガキどもの貧弱な体で
     エロじじいとババァからガッツリ貪りとってやった楽して稼いだ大金で
     面白可笑しく人生を 無駄に生きるのが夢なのさ
     それが俺の生きがい 分かった?」
ウオッカ「お前の夢は ガキの『心の学校』だろうが 知ってるぜ」

イーブ 「ちょっと酔いにまかせてものすっごいクサイ物言いはやめておくれでないかい
     俺サマを誰だと思ってんの? 幼児娼館ナンバーワンオーナーのイーブ様だぜ?」
ウオッカ「おう 分かった イーブ様 酌してくれよ お前の夢の学校を願って祝おうぜ
      教免持ってる娼館オーナーは お前くらいだろうな」
イーブ 「だから言うなよ …なぁ ウオッカの旦那
     こんな時代にさぁ ガキに道徳なんか教えてちゃ
     俺たちゃ絶対 地獄に落ちるよなぁ…
     でも それもま良いかと思っちゃうのも イカれてるよなァ
     しかし桜ってなぁ 豪傑な花だな 見事に咲き乱れて 潔く散り逝く」
ウオッカ「俺たちみたいに イカれてていいさ 地獄で会おうぜ BABY」





八  

登場人物:/ラス/番犬/キール

ラ ス「しかし 本当にいい天気だな今日は お昼寝日和だ 
    なぁ 騒がしい奴らは放っておいて 2人でどこかへ時化込まないか 番犬?
    おっと キールもいるんだったな なんならキールを交えてでも歓迎だぜ
    三人でセックスしようか?」

番 犬「あんたは いつもそれだな」
キール「え どういうこと」
ラ ス「キール 俺はセックスが好きな病気なんだ 助けろよ少年たち」
番 犬「だったらその辺の奴を捕まえて済ませろ 今日は娼館の子供も多い」
ラ ス「駄目だ 今日はバカラがいる あいつの前で幼児性愛行為はご法度だ
    ま お前らとヤルのも相当ヤバイけどな あーあ もう帰るかな
    闇の住人には このふわふわしたピンクの陽だまりは キツイぜ」
番 犬「だが あんたがキラとヤルよりは ボスもマシだと思うだろう」
ラ ス「何?俺がキラと何?まさか キラとはセックスなんかしないぜ」
番 犬「どうだかな あんたとキラは怪しいもんだ」

ラ ス「おやおや そんなことに興味が沸いたのか ボーヤ?」
番 犬「坊や言うな」
ラ ス「それはさ 嫉妬だって思っていいのかな キラへのさ」
番 犬「嫉妬というのは 妬む気持ちというやつか? 何故俺がキラを妬む?
    妬む理由も 妬むという感情も 俺にはない」
ラ ス「やれやれ そんなことから 教えなきゃならんとはね
    お前は色恋に疎いな番犬 キールとつきあってるんじゃないのか?」
番 犬「うるせぇ」
ラ ス「バカにされてるのは 分かるんだな 意味が不明でも
    おまえらガキは 気に障る言い回しには敏感だ 面倒くさいな」

番 犬「相手が出す気に入らない臭気で分かるぜ 今は制御できるが 
    押さえが効かない頃なら あんたは今頃死体だ」
ラ ス「恐ろしいな さすが地獄の番犬 臭覚がいいんじゃ やっぱ野犬かな」
キール「あの ブロンクスは 本物じゃないんだよね?」
ラ ス「キール それは本物の野良犬じゃないよねって意味かい?」
番 犬「殺すぞ おっさん」
キール「違う 地獄の番犬だよ ヘルハウスの門番 ケルベロスさ
    単に雰囲気が似てるからだって ウオッカは言ったし」
ラ ス「そうさ 似てるからさ 本物のわけであるわけがないだろ?
    本物のケルベロスが中学生ボーズなわけがあるまい?」
キール「だよね」
番 犬「中学生言うな」

ラ ス「キールは ブロンクスが好きなのか?」
キール「え それは 嫌いじゃないけど」
番 犬「俺たちは利害関係が一致してるんだ おっさん
    俺とキールは 付き合っているという契約を結んでいる関係だ」
ラ ス「そうなのか?キール」
キール「ああ うん そうだよ ブロンクスは俺を学校で護ってくれる
    そのかわりに 俺は彼の性欲を処理するんだ」
ラ ス「…お前らガキは恐ろしいな そういうことが平気で言えるんだからな
    いいか 俺は病気の変態だが 社会のルールを知ってる振りくらいはできる
    その契約の内容は 滅多やたらと人には話すなよ 特にバカラにな」
番 犬「それくらいは分かってる 俺もキールもバカじゃない
    社会規則くらいは基礎授業で習った 例えば人を殺してはいけない だろ」
ラ ス「それはルールだからか?」 
番 犬「そうだ そう決められているからだ 俺のルールは違ったがな
    ボスはここのルールに従えといった」
ラ ス「よくいうよバカラのヤツ 自分では守れないくせにな
    キール この犬と 恋愛なんかするのは 難しそうだぜ?
    それでも お前は この犬がいいのか?物好きだな」
キール「え 恋愛なんて そんなんじゃ ないよ 俺…」
番 犬「恋愛って何だ」





九  

登場人物:番犬/エンゼル

番 犬 「キラを見なかったか エンゼル」

エンゼル「お 番犬じゃねぇか 久しぶりだな
     なんだ 大事なキラ様を見失なっちまったのかよ」
番 犬 「さっきまでいたんだ そのへんに」
エンゼル「らしくねぇじゃねぇか お前がキラのケツを見失うなんてよ
     どっかでうつつでも抜かしてやがったのか?」
番 犬 「…うるせぇ」
エンゼル「何だ 図星かよ 珍しいな
     さてはキールと仲良く花見でもしてたんだろ( ̄ー ̄)」
番 犬 「見なかったなら いい」

エンゼル「おいおい ちょっとまてよ 何だよ? いつになく焦ってる感じだな
     今日は用心棒の仕事はオフなんだろ? 花見だし
     アイツのお守はしてなくていいんじゃねぇのかよ」
番 犬 「そうだが 今日は外にキラの敵が多すぎる」
エンゼル「そうか? そうでもねぇと思うぜ? 今日のチーム連中は
     どっちかってーとキラ派か灰色系が多いし 
     不本意ながら俺のチームもキラのファンが多いからな
     対キラ連中は ほとんど呼ばれてねぇみたいだぜ?」
番 犬 「情報がある 今日キラがここにいるというな」
エンゼル「そりゃそうだろうが…あいつもバカじゃねぇんだから
     ひとりってことはねぇだろ それに今日は人目も多い」
番 犬 「おっさんはボスといる つまり あいつの側には今
     力のある奴がいない」
エンゼル「んだよ そんなとこまで頭回して心配してんのかよ お前」
番 犬 「心配じゃない」
エンゼル「それは心配だっつーの だって仕事じゃねぇんだろうが
     仕事がオフの時くらいは 誰の面倒も見たくはねぇって言ってただろ」

番 犬 「キラが死ねば 俺の仕事が無くなる だから探してる」
エンゼル「おいおい さらっと殺すなよ 大げさなヤツだな
     そんなにヤツのことをオフの時まで考えてると キールが可哀相だぜ」
番 犬 「キールが何故可哀相なんだ」
エンゼル「そりゃお前…… いや…止めた 何か空しい展開が目に見えそうだからな
     つまりな 休みのときくらい恋人を構ってやれっていってんだよ」
番 犬 「お前は誤解してるようだが 俺とキールは付き合ってはいるが
     恋愛とかいう関係じゃない 恋人という契約だ」
エンゼル「へーへー 分かってるよ
     お前が恋とか愛とかそんなもん理解してねぇってこともな」
番 犬 「キラが死ぬとボスが俺にがっかりする 失望させたくない」
エンゼル「…今度はバカラ社長かよ おまえって何だか複雑になってきたな
     俺をおいていくなよ 寂しいじゃねぇかよ」
番 犬 「俺はシンプルだ 勝手にお前が複雑だと思ってるだけだ
     何故そんなに 複雑だと思いたがる」
エンゼル「なんで? 俺は早く単純思考から 複雑で奥の深ーい人間に
     なりてぇからだよ ウオッカみたいになりてぇんだ」
番 犬 「お前の良さは シンプルさだぜ エンゼル」
エンゼル「それ 誉めてねぇよな? 分かったよ
     うちの連中にもキラを見つけたら連絡入れるようにしといてやるよ
     でもまぁ お前の鼻で探せると思うけどな 俺は」
番 犬 「俺は犬じゃない」


カミカゼ「ヘッドー!!何してんですか  こっち来てくれ!
      アカシヤが飲み過ぎて ダークファイバーの奴と揉めてる!」
エンゼル「ちッ おぅ!今行く! ったく何浮かれてやがんだ…今日は揉め事は無しだってのに」

番 犬 「エンゼル」

エンゼル「ん?」
番 犬 「お前のチームは いつも楽しそうだな」
エンゼル「おう 楽しくやって仲間の結束が硬いのが 俺らのチームカラーだ
     ま そんなんだから ハッカーのくせにブラックリストの端にもかからねぇんだと
     嫌味を言われるんだがな 別に俺のチームには 優れたスキルなんざ
     本当は関係ねぇのさ 上を狙いたい奴には 他のチームを薦めてる」
番 犬 「だがマフィア・ボーイズの入団希望ランキングは 意外と上位だぜ」
エンゼル「みんな寂しい奴が多いんだろ うちは欠員でねぇともういっぱいいっぱいだ
     個人的に女限定で俺の人気が高けりゃいいんだが ねぇわなァ… 
     それじゃあな さっさとキラの野郎を捕まえて 花見を楽しめよ番犬
     お前もタブロイド社の連中といるときゃ 楽しそうに見えたぜ さっきな
     お前が仲間に囲まれてんのは 妙な風景だったけどな」
番 犬 「俺はもともと群れの中にいたんだ 隠れるにはちょうど良かった
      奴らは今の連中と違って 獲物を持ってくる以外には 退屈な連中だったがな」
エンゼル「は?」

番 犬 「じゃあな エンゼル」




十  

登場人物:バカラ/ラス

バカラ「ここは どこだ?」

ラ ス「植物園1区花見会場の端だよ」
バカラ「ああそっか 痛ぅ… 飲みすぎだな〜 頭痛がする」
ラ ス「だろうな」
バカラ「んん? みんなはどこ行っちまったんだ?」
ラ ス「皆が何処かに行ったんじゃなくてな お前が客先まわりをしたあと
    泥酔で帰って来たと思ったら 俺を引っ張ってこんな外れまで来たんだよ
    酔っ払いはこれだから困るな 帰っていいかもう」
バカラ「そうだっけな まぁそういうなよ つれないな 2人きりになりたかったんだ
    ここはあっちと違って 静かでなかなか綺麗だろ?」
ラ ス「そうだな バカ騒ぎの場所に疲れたから 案外年寄りには 極楽だな」

バカラ「なぁ 結婚しようや」
ラ ス「…誰に言ってる」
バカラ「おまえしかいないだろ? ラスティネールに言ってるんだぜ」
ラ ス「酔いが覚めてから 言い直せ」
バカラ「酔っ払いだから嫌なのか? 酔ってないぜ もう」
ラ ス「覚めてもそのセリフを言う気なのかと言ってるんだ」
バカラ「そう 正気でプロポーズは何回したっけな なんで駄目なんだ」
ラ ス「何回も言ってるだろ 俺には…」
バカラ「俺も何回も言ってる それでも良いって言ってる」
ラ ス「偽の子宮で子供まで産んどいて まだ酔狂に男と結婚する気か?」
バカラ「お前の子供も産んでやってもいいぜ? 妊娠すればだけどな」
ラ ス「ウオッカはあんたの女房の卵子を使用したから出来たんだ 
    俺に卵子はない だから諦めろ」

バカラ「最新医療ならできない相談じゃない でも子供がどうのじゃなくて
    俺は お前と番いたいだけなんだぜ 俺を嫌いなのか?」
ラ ス「お前はどっちかと言えば良い友達だ お前のすることは面白いしな
    俺のことは忘れてくれ 俺の趣味は年下だって知ってるだろう」
バカラ「知ってるが あんまり賛成はできねぇな たまに相手が若すぎら」
ラ ス「だが友達だから 俺の性癖にもお前は黙ってる そうだろう?」
バカラ「そうだ じゃなきゃブン殴ってるさ でも俺ともお前は普通に寝てる
    大人の人間とセックスできないわけじゃない だったら良いじゃねぇか」
ラ ス「何回議論してもお前はわかってくれない しつこいから寝てるんだ
    それくらいのことは出来るさ お前は親友だし嫌いじゃない」
バカラ「嫌いじゃないなら 結婚しろよ 何が駄目だ
    俺はお前が昔の誰のことを忘れられなくても どんな性癖でも
    問題ないと言ってる」

ラ ス「まだお前には 知らないことも沢山ある」
バカラ「なんだ?」
ラ ス「俺たちの絆を 永遠に失くすようなことになりかねないことさ」
バカラ「…俺が耐えられないようなことか?」
ラ ス「そうだ それでも俺を赦すなんて口が裂けても言えないだろうよ
    言ったよな? 俺はお前を手酷く裏切ると な」
バカラ「俺はなラス あのバカ息子がキラにしたことを
    今でも償えないと思ってるんだよ お前は気が付いてたんだろうが
    俺は 思春期のあいつの理性ではどうにもならないものを 
    理解するのが遅すぎた バカなオヤジだ あれは俺の責任だ
    俺のせいで どっちもを傷つけたんだ 悪かったと思ってる」
ラ ス「そうかもしれないな」
バカラ「だからな もし俺の息子達を さらに傷つけるようなことが起こったら
    俺は容赦しない 俺の大事な息子たちだ 今度はミスしねぇ
    だが お前のことも愛してるんだよな俺は だからもしそうなった時は…」
ラ ス「俺を殺すか」

バカラ「そうだな それで俺も死ぬかな」
ラ ス「無理浸心中は頂けないな 俺は簡単に殺せるような男じゃないぜ」
バカラ「ウオッカが アイツが昔からお前に惚れてたのは知ってるんだ
    今じゃもうアイツもいい大人だ 好きにすりゃいい 俺の愛する人を寝取っても
    俺には文句もいえない そんなことで恨んだりしねぇよ 譲るつもりもねぇけどな」
ラ ス「…そうか なるほどな お前は本当に生粋の正しい男だよ
    ククク… だから 俺は時々 お前が凄く必要になるんだな…」
バカラ「?なんだ? どういう意味だ」
ラ ス「この俺がお前を傷つけたくないなんて 本気で思ってる節があるってことさ
    狂気の沙汰だ 俺の血液のような毒が薄まるのは自殺行為だ
    だけど 薄まって欲しいと どこかで思ってるのかもな」
バカラ「全然わかんねぇぞ? なんのことを言ってんだ」
ラ ス「だからお前ら親子を 俺達は 欲しがるのかもしれねぇな…」
バカラ「誰のことだ? 俺達って?」

ラ ス「とにかく プロポーズは断るぜ バカラ
    そうだな 今度はウオッカと張り合ってくれ
    親子で俺を取り合ってくれるとゾクゾクするな どうだ?」
バカラ「おいおい それじゃあ 俺がジジイな分 勝算率低いじゃねーかよ!」
ラ ス「そうか? ウオッカが本当に俺を好きかは わからねぇだろ?
    あいつが俺に惚れてたのはガキの頃の話だろ 今はどうかな?
    本人に聞いてみろよ」
バカラ「バカヤロウ んなこと こっぱずかしくって確認なんかできっかよ! 
    なんだ その…ウオッカの野郎は お前に告白でもしやがった…か?(ーー;)」
ラ ス「さあどうかね ま 親子揃って 俺を射止めることに頑張りな」
バカラ「俺はまだ 若いもんには負けんぞ」




十壱