懲りない恋する男

ピュア・ラブ
登場人物 エンゼル/ブロンクス
「…まさか お前がスプモーニちゃんじゃないよな?」

「違うな」

「じゃあ…お前がこの待ち合わせ場所に来たってことはだな」

「そうだ お前が三ヶ月もネットで密かに楽しく話していた
 お前にとって特別な女 スプモーニはキラだってことだ エンゼル」

「〜!!ッ畜生めッ!またキラに騙されたってわけかよ!クソ〜ッ!」

「お前が毎度アホな証拠をここで解説してやるか慰めてやるか 選べ」

「うるせぇ!お前に同情なんかされたくねーよ!ブロンクス!
 どうせ笑いに来るなら アイツが直接来やがれ!ブン殴ってやるっ」

「それは無理だ」

「へっ どうせ用心棒のお前を連れて来て盾にするもんな」

「何故毎回引っ掛かる?何回目か教えてやろうか」

「余計なお世話だ!」

「エンゼル 本当はキラだと知っていてやってるんじゃないのか?」

「はぁ?!冗談じゃねぇよ 何で俺がキラ相手に口説かなきゃんねーんだ
 知ってたら俺があいつを逆に罠に嵌めてやるよ!…無理だけどな」

「判ってるなら ネットナンパの相手は信用しなければいい
 会うまで嘘の会話をすればいいだろう お前は正直にやりすぎる」

「…最初は俺だってめちゃくちゃ用心してるさ 勿論な…最初は疑ってるよ」

「そのうちに騙されるというわけか トリ頭だから」

「トリ頭は余計だ! まぁでもそんな感じだな
 もしもその子がキラじゃなかったら …悪いだろ相手に」

「疑って嘘の会話をするのが悪いという意味か?」

「そうだろ もしも本物で その子のことを…
 傷つけるようなことになったら嫌じゃねぇか
 だったら俺が後で笑われる方がマシなんだよ
 だから途中からはいつでも マジなんだよ俺は」

「キラは返事がくる都度 大笑いしてるぜ」

「お前もそこで笑ってるんだろうが ブロンクス」

「俺はキラがネカマ・クラブでログを公開するまで 全容は知らない
 キラは晒される生贄がいることを 俺に言うだけだ」

「でもソレを俺にチクってくれる親切心はないわけだよな?」

「そんな義理はないな
 それにキラはお前以外にも 生贄を持ってる
 誰がどの相手だかは わからない」

「キラに踏みにじられた被害者の会でも設立すっかな」

「だが最近 つまらないらしいぜ」

「なにが」

「最近ネタバレ後のエンゼルの憤りの反応が その場限りで
 全然平気なように思えるのが気に入らないらしい
 だから今回キラは来なかったわけだ」

「つまんなきゃ 止めればいいだろ 何かと飽き性なくせに
 アイツはこういうことにはまったく粘り強いから参るぜ」

「キラのことをよく知ってるな エンゼル」

「ああ?!何薄笑いしてやがるんだよ こえーんだよケルベロス」

「キラに騙されるのも楽しそうに見えるぜ」

「…俺が無駄に暴れる前に消えろ 番犬
 お前とこんなとこで会ってるのを目撃されたら
 絶対よからぬ噂が立ちそうだぜ アイツの狙いはそれじゃねーのか」

「マフィア・ボーイズのヘッドはキラのスパイだと噂されるか」

「…いや そうじゃなくてな …お前が本気で疎くて助かるぜ」

「?」

「まぁ 万が一 俺がキラのスパイだって噂が立とうが
 俺のチームはそんなもの誰も信用しねぇからいいんだけどな」

「そうか なら問題ないな 座っていいか 腹が空いてる」

「なンだお前 俺が初デートしようと思ってた場所でメシ食う気かよ?」

「デートならもっと場所を選べ エンゼル だから失敗する
 どうせヤルならモーテルとか誰も来ない廃屋が手早くていい」

「うるせぇ 会ってすぐヤルようなケダモノじゃねぇんだよ俺は
 最近ここは気に入ってる秘密の店なんだ 悪かねぇだろ」

「そうだな 悪くはないな」

「てめぇ 何笑ってやがる ちぇっ 
 
 …何食う?何でもウマイぜここは」




END
続編あります。


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photo/真琴 さま (Arabian Light)