All I Want For Christmas Is You
恋人たちのクリスマス


03




サ ワ「こんばんはー! ようこそ、アルーシャへ! 愉しんでますか?
    あれぇ? もしかして川野さんじゃないですかー? お久しぶりですねぇ!
    何年ぶりですかー?! どうされてたんです? ご無沙汰ですよねー。
    まだ厳しい店長のいる飲食店で、文句云いながら皿洗いの給仕してるんですか?
    アレ? 黒服でしたっけ? まぁたいへんですよねー、サービス業って」

マック「い、いやぁぁー、ご無沙汰ですぅ! (ア、キ、ラァ―ーーッ!!)」

石 田「えっ! なんだよ、まっくん? この店、来たことあるんか?!」
西先輩「ははぁ。やっぱりなんだかおかしいと思ってたんだよな。もしかして常連だったのか?」
マック「ハハハ。。。いやー、なんていうか、その、昔は、ちょっと、好きで来てた? みたいな?」
石 田「なんだよー、だったら、黙ってないで言えば良かったのに。何で黙ってたんだよ?」
マック「スマン。昔に来てたけど今は全然だし、店のひとに覚えられてなかったら恥ずかしいしなーって」
西先輩「ああ、それはちょっとわかるな。何処でも常連気取りは、少しみっともないからな。
    久しぶりなら尚更だよな。謙虚なんだな、川野さんは」

マック「アハハ……デショ?(ああ! イタタマレナイ!!)」
石 田「そんなこと気にすることないのに。
    二回ほど来ただけで、常連みたいな大きな顔してる先輩もココにいるのにさー」
西先輩「石田、てめぇ、良い性格してるな」
マック「なんだか仲良しの二人の話に水を差すのもアレかなと思ってさ……」

西先輩「えっ……」
石 田「な、何いってんだよ。まっくん? ……別に……俺と先輩は……何でもないよ」
マック「……えっ? いや? ええ?(ええ? ナニ、この空気?!)」
西先輩「石田、ふざけるのなよ。本気にされてるぞ。演技派だな、お前は」
石 田「あ。や〜。すいません、ちょっとフザケちまいましたー、ハハハ!」
マック「ア、アハハ……。(いやいや違うよね? ガチでソウじゃね? こいつら、デキてるよね?
    ガチデキてるんだよね? 石やん、お前もソウだったのか!? 知らなかったぜ……)」

サ ワ「ところで川野さんとは、昔からのお友達なんですか?
    この人ってバリバリ男前じゃないですか。昔から結構、モテたんでしょうね?」
石 田「あ、そうそう、俺がね、郷里の同級生なんですよ♪ おにーさんもド美形だけどね」
サ ワ「ありがとうございます。そうなんですか、同級生?」
石 田「うん、そう。中学のね。まっくん、飲食店で皿洗いのバイトしてるのか?」
サ ワ「ご苦労されてるんですよね、川野さんはいろいろと、ね」
マック「……ま、まぁね。いろいろね。この歳で情けない限りですよ(サワ、殺ス)」
石 田「そんなことねぇよ。まっくんはさー、中学の時からカッコ良かったんだよー。
    喧嘩も誰よりも強かったし、シュールな冗談ができる前衛的な不良でさー。
    男連中は後輩も同級も恐れをなしてて。でもあんまり背丈は伸びなかったんだな。
    そこが残念だったなー。180センチほどあったら、きっと世界は変わってたのにな?」
マック「うるへーわ。余計なお世話じゃ。ボクはまだスクスクと育ち中なんです!」

サ ワ「へぇ。不良の、まっくん? ……なんです、ね」
マック「すみませんがまっくん呼称は、同級生以外はお断りさせて頂いてます。
    あと必死で笑いを堪えるのもやめて下さい」
石 田「あの頃は女の子も結構、早熟でさ。田舎だから遊ぶとこないし、海辺のとこなんかでね。
    まっくんは、意外と硬派に見えてナンパだったからヤン女子は食っちゃってたんじゃないのかなー。
    顏が良くて強いちょいワルなのは、田舎じゃモテる条件ッスよね」
サ ワ「へー! 女子中学生を。やるもんですねぇ」

マック「いいえ違います。おいら、不純異性交遊反対派でしたから。何言ってんの、石田くーん」
石 田「別に今さらいいじゃんか。そんなの昔の武勇伝だろ?」
マック「違うわー! どんだけヤンキーだよ、お前!」
西先輩「まぁ、川野さんはね、すごく謙虚なひとだからねぇ」
マック「西先輩、それ完全に面白がってますよね?」
西先輩「いやあ、でもじゃあさ、石田も、相当だったのかな?」
マック「やー、石やんもね、そう、勿論そうなんですよ。相当のワルでねぇ。
    さっき後輩も同級も俺を怖がってたなんて言ってたけど、それは石やんのことでしてね。
    そら相当でしたよね。とにかく素行がワルくて、孕ませて孕ませてタイヘンー」
石 田「ちょ、嘘言うなよ。俺なんか全然、女子に相手にされんかったばい!」
西先輩「そうか? 石田は一緒にヤリまくってたんだろ、どうせ。わかるな」
石 田「あのね。そんなわけないでしょうが。どういう意味ですか」

マック「まぁまぁもう、そんな昔の話は良いじゃない? じゃな、サワさん!
    俺ら次の店に移動するからさ、ねっ、先輩! 夜は短し早めの行動と行きましょう」
西先輩「ああ、そうだな。最後の店はちょっと気を引き締めていかないとな。
    オーナーの機嫌を損ねると、本当に叩き出されるそうだから注意しないと」
サ ワ「へぇ。それはきっとあの店かな。どちらのお店へ?」
西先輩「知ってる? ピアノ・マンっていう高級クラブだよ。やっぱりこの辺では有名なのかな」
マック「――――――!?(ヒィィィィィ!!)」

サ ワ「ああー。それは良いですねぇ。そうですね。あの店のオーナーはすごく気難しいですけど、
    見た目が若くて渋い、ギリシャ彫刻みたいな飛び切りイケメンの実業家なんですよ。
    あんな素敵な大人の男性とつきあえるひとって、どんな人でしょうね?
    最近、新しい恋人ができたって聴いたんですけど。じゃ、楽しんできて下さい♪」

マック「・・・!!(サワァァァァ―――!)」



photo/R

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