You're Only Lonely


10月12日 AM12:50
シックスティーズ 最終ステージ前のインターバル
二階隅のテーブル

登場人物:サワ/マック/ナルセ




サ ワ「マック! こっちだ」

マック「サワ。悪い、こんなとこまで来て貰って、申し訳ないな。
    でも店内まで来こなくても良かったのに。まさか伝票、切られてないよな?」
サ ワ「いや、大丈夫だよ。最終ステージだし、ちょっと仕事関係の話だと店長に断って入ったんだ。
    それよりどうしたんだよ、急に飲みに誘ってくれるなんてさ。
    メール見てビックリしたんで、速攻、返信するよりつい直接来ちまった」
マック「別にこれって用事じゃないんだけど、前にちょっと不義理をしたかなと思ってな」
サ ワ「前って?」
マック「随分前の話だけどさ。ジャンクライブのとき、酔ったおれに合わせて、
    サワもホテルに泊まってくれるって云ってくれたのに、おれ、アキラたちと帰っちまっただろ。
    なんだか悪かったと思って。お詫びに奢るから」
サ ワ「ああ……。あの時ね。でもあれはさ、ホラ……おれ、下心があったからな」

マック「……下心って?」
サ ワ「意味通りだよ。分かるよな?」
マック「わかる、けど」
サ ワ「分かるんだ。そうか。だったら手っ取り早いよ。
    じゃ、終わってから、行かない?」
マック「んん? 一緒に飲みに行く約束、だよな?」
サ ワ「飲むのは、ホテルでもいいだろ」

マック「ホテル? あーそれはちょっと、展開が……早くないか?」
サ ワ「はぁ? ああ、そうか。マックはそういうタイプなんだ」
マック「え、どういうタイプ?」
サ ワ「じっくりお付き合いしてから、見極めて、するタイプなんだ」
マック「……いや、それはそうでもないかもしれないけど」
サ ワ「なら、俺が趣味じゃないのか? 魅力を感じない?」

マック「そんなことはない。サワは、イケてるよ……」
サ ワ「だろ? だって、マックは、俺にキスした」
マック「え……嘘だろ? その話、嘘なんだろ??」
サ ワ「嘘じゃないよ。マックが酔って俺にしたんだぜ。びっくりした」
マック「そうなの? ほんとか……」
サ ワ「ん、―――ああ、もう最終ステージが始まるみたいだな? 行けよ。
    あっちでリーダーナルセさまの機嫌が悪そうだ。おれのせいかな? 客でもないしな。
    けど、ナルセは本当にイカスよなぁ……。オーラが違うな。ため息が出るよ。
    ああいう雰囲気は、マネだけじゃ出せないから。天性のスターは羨ましいよ。あやかりたいね。
    久々にちょっと聴いてから、出てってもいいかな? 外で待ち合わせよう」

マック「あ、ああ。そうだな。で、どこ行くんだ。ホテルはやっぱりまずい気が」
サ ワ「とりあえず、メシ食いに行こう。腹すいてるんだろ?」
マック「まぁな。でもこの頃、あんまり食欲ねぇから簡単なもんで……」
サ ワ「そうなのか? でも俺と食べれば、きっと食欲も湧くさ。近くの居酒屋にしよう。
    じゃ、頑張れよ。俺は見てるよ、ここで。
    スターナルセじゃなくて、かっこいいマックの雄姿をな(^_-)-☆」
マック「え。ああ、うん、サンキューな……」








ナルセ「―――マック、遅いぞ。
    何してたんだ。俺よりあとにステージに上がるなよ」

マック「悪い。ちょっと用事あって……」
ナルセ「あれ、サワだろ。アルーシャの。お前が、呼んだのか?」
マック「話があったんだよ。外で良かったんだけど、店まで来ることないのに」
ナルセ「こっちを見てる。俺に、対抗してる感じがする」
マック「冗談だろ。サワがナルセに勝てるかよ」

ナルセ「わかってりゃ、いいんだ」
マック「はぁ。おまえは本当にクールで天下一品のおれさま高飛車ナルシストだよな。
    そんなスターナルセの歌に胸ときめかせて、皆さん早々フロアでスタンバってるぜ。
    じゃ、ラストステージ、一曲目、行こうか? 用意はいいかよ、おれの憧れスター」



ナルセ「オーケイ、いいぜ。行こう―――」


マック「レッツ・ツイスト・アゲイン……!」










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